非政治的人間の考察(読み)ひせいじてきにんげんのこうさつ(英語表記)Betrachtungen eines Unpolitischen

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「非政治的人間の考察」の意味・わかりやすい解説

非政治的人間の考察
ひせいじてきにんげんのこうさつ
Betrachtungen eines Unpolitischen

ドイツの作家トーマス・マンの評論集。 1918年刊。第1次世界大戦を歓迎したマンは,兄ハインリヒとの論争を引起し,兄が擁護する西欧デモクラシーに対してドイツの本質と伝統を対置する。ショーペンハウアー,ワーグナー,ニーチェの系譜とドイツ・ロマン派の流れを検証,音楽的精神のなかにドイツ文化をみる彼は,デモクラシーを軽薄な文明産物と断じた。国内保守派を力づけた一書だが,のち作者自身この論集に不満をいだき,一部を訂正した。マンの文化観,芸術観を知るのに重要な作品である。

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