静岡[県](読み)しずおか

百科事典マイペディア 「静岡[県]」の意味・わかりやすい解説

静岡[県]【しずおか】

中部地方南東部,太平洋に面する県。県庁所在地は静岡市。7777.42km2。376万5007人(2010)。〔沿革〕 かつての伊豆国駿河国遠江(とおとうみ)国の3国に当たり,中世は足利今川,北条氏などが勢力を振るった。徳川家康が駿河,遠江,三河を地盤にして天下を統一。江戸幕府はこの地を重視して駿河,遠江を幕府領,譜代大名領,旗本領とし,伊豆を直轄地とした。太平洋岸は東海道が通じ,その53宿のうち22宿が3国に属し,新居(あらい)には関所が置かれた。1869年駿河に静岡県,遠江に浜松県が置かれ,伊豆は1868年韮山(にらやま)県,1871年足柄県を経て1876年静岡県と合併,同年浜松県も静岡県に合併して現県域となる。〔自然〕 県のほぼ中央を糸魚(いとい)川‐静岡構造線が南北に走り,その東側は富士山など諸火山の火山性岩石(第三紀安山岩,凝灰岩など),西側は赤石山脈などの古生層,中生層の堆積岩からなり著しい対照をなす。天竜川大井川,安倍川などが太平洋に注ぎ,下流扇状地沖積平野を形成,古い沖積平野は隆起して三方原磐田原牧ノ原台地をなす。東部に伊豆半島があり,御前崎とともに駿河湾を抱き,西部には浜名湖がある。太平洋岸西部は単調な砂浜が続くが,伊豆半島の海岸は小出入が多い。典型的な太平洋側気候を呈し,温暖多雨,特に伊豆半島南部は海洋性。富士山麓は高冷地の気候を示す。〔産業〕 産業別人口構成は第1次4.9%,第2次34.5%,第3次59.6%(2005)。山地が広く都市化が進んだため耕地は全面積の9.7%にすぎず,その33.3%が水田である(2003)。畑地の約5割は茶園とミカン園などの樹園地で,茶は牧ノ原が中心,ミカンは静岡市の山地斜面,浜名湖周辺,伊豆半島で盛んで,ともに県の代表的産物になっている。東部の東海道沿いの農村ではダイコンニンジンなどの促成野菜,西部ではネギ,ハクサイ,伊豆半島では花卉(かき),早生(わせ)エンドウワサビなどが栽培される。温室によるメロン,キュウリ,トマト,温暖な気候を利用した石垣イチゴも多産。焼津港,清水港を中心に水産業も発達,マグロ・カツオ遠洋漁業が盛んである。浜松,富士,磐田,静岡など太平洋岸の諸都市では工業が高度に発達して臨海工業地域を形成し,県全体で15兆9638億円を上げ,中部地方では愛知に次いで2位,全国で3位を占める(2003)。静岡県は背後に高山を控え,太平洋岸沿いに平地が帯状に分布することから,東西方向の交流が強く,関東と中京・関西とを結ぶ回廊的性格を持っている。製紙,繊維工業の盛んであった県東部には,関連の工作機械,電気機器のほか首都圏に近いため先端技術産業の企業や研究所が集まっている。県中部では静岡市の木工,茶,旧清水市(2003年,静岡市と合併)の水産加工などの地場産業が盛んであったが,電気機器,一般機器工業が発展している。県西部の浜松市を中心とした地域では,かつては綿織物が盛んであったが,ピアノなどの楽器製造,自動車,オートバイ部品工業が大きく発展し,また〈浜松地域テクノポリス〉に指定され,先端産業の発展も著しい。富士箱根伊豆国立公園南アルプス国立公園天竜奥三河国定公園があり,富士山,温泉都市の熱海や伊東,修善寺,伊豆長岡,湯ヶ島など多くの温泉,景勝の伊豆西海岸,三保松原,日本平,佐久間ダム,浜名湖など観光地が多い。〔交通〕 太平洋岸に帯状に分布する平地に沿って東西方向の交通が発達し,東海道本線・新幹線,新東名・東名高速道路,国道1号線が縦貫している。このほか狭い平地に沿って伊豆半島に伊東線,伊豆急行,伊豆箱根鉄道,県東部に御殿場線,身延線,岳南鉄道,県央部に静岡鉄道,大井川鉄道,県西部に遠州鉄道,天竜浜名湖鉄道が通じる。牧之原台地に富士山静岡空港が2009年6月開港。
→関連項目中部地方

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