普及版 字通 「静(漢字)」の読み・字形・画数・意味
静
常用漢字 14画
(旧字)靜
人名用漢字 16画
[字訓] しずか・やすらか・しずめる
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
旧字は靜に作り、(青)+爭(争)。は青丹、爭は力(耒耜(らいし)の形。すき)を上下よりもつ形。争奪の爭とは同じでない。耜(すき)を清めて虫害を祓う儀礼。〔説文〕五下に「審らかにするなり」、〔伝〕に「丹審するなり」と采色を施す意とするが、耜を修祓する儀礼。これによって耕作の寧静をうることができるとされたのであろう。周初の金文〔班(はんき)〕に「東或(国)を靜(やす)んず」、後期の〔毛公鼎(もうこうてい)〕に「大いに從(みだ)れて靜(やす)らかならず」とみえ、寧静の意に用いる。本来は農耕儀礼として農器を修祓する儀礼であった。粢盛(しせい)の清らかなことを〔詩、大雅、既酔〕に、「豆(へんとう)靜嘉」といい、嘉も字形中に力(すき)の形を含み、鼓声を加え、祝して祓う農耕儀礼をいう字であった。静嘉と合わせて、粢盛の明潔の意とする。(せい)・(靖)(せい)・(せい)には通用の義がある。斉器の〔国差(こくさたん)〕に「用(もつ)て旨酒を實(みた)さん。旨(うま)からしめ靜(きよ)からしめん」とあるのは、の意である。
[訓義]
1. きよめる、きよい、すむ。
2. しずか、やすらか、つまびらか。
3. しずめる、やわらぐ、ととのう、やすむ。
4. 諍と通じ、いさめる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕靜 シヅカナリ・シヅカニ・ヤスム・アキラカ・アヂキナ・オモフ・ヤハラカナリ 〔字鏡集〕靜 アヂキナシ・ハカル・アキラカ・ヤスム・ヤハラカナリ・シヅカナリ・ハカリゴト・オモフ・アキラム
[声系]
〔説文〕十一上に靜声としてを収め、「垢(こうわい)無きなり」とする。淨(浄)も声義の近い字である。
[語系]
靜・・淨dziengは同声。淨を〔説文〕十一上に魯の北城門の池の名とするが、おそらく靜の省声にして、清浄を本義とする字であろう。
[熟語]
静遏▶・静安▶・静晏▶・静意▶・静域▶・静一▶・静逸▶・静院▶・静婉▶・静淵▶・静穏▶・静嘉▶・静歌▶・静愨▶・静間▶・静観▶・静居▶・静虚▶・静境▶・静君▶・静言▶・静厳▶・静語▶・静功▶・静好▶・静谷▶・静坐▶・静思▶・静止▶・静舎▶・静者▶・静修▶・静粛▶・静勝▶・静照▶・静嘯▶・静心▶・静▶・静清▶・静寂▶・静専▶・静躁▶・静息▶・静退▶・静泰▶・静昼▶・静聴▶・静寧▶・静波▶・静漠▶・静謐▶・静物▶・静僻▶・静黙▶・静夜▶・静養▶・静慮▶・静聆▶
[下接語]
安静・晏静・隠静・雲静・淵静・涵静・閑静・間静・寛静・簡静・希静・虚静・玄静・好静・至静・寂静・主静・守静・秋静・粛静・処静・慎静・綏静・正静・清静・棲静・専静・退静・泰静・湛静・澹静・昼静・澄静・沈静・鎮静・貞静・恬静・動静・寧静・平静・保静・幽静・養静・冷静・廉静・和静
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報