青森[県](読み)あおもり

百科事典マイペディア 「青森[県]」の意味・わかりやすい解説

青森[県]【あおもり】

本州最北端にあたる東北地方の県。県庁所在地は青森市。9645.59km2。137万3339人(2010)。〔沿革〕 古くから〈みちのく〉と呼ばれ,かつての陸奥(むつ)国一部分を占める。平安末期に安倍貞任の子孫津軽に入り安東氏と称し,蝦夷(えぞ)管領となった。1585年には津軽氏が弘前(ひろさき)に居城して津軽地方を統一,江戸時代に黒石藩も合わせ治めた。県の東部は鎌倉時代以来,南部氏が統治し,江戸時代南部領であったが,明治維新によって弘前県に統合され,1871年,黒石県とともに現在の青森県となった。〔自然〕 北部は津軽海峡に面し,東部に下北半島,西部に津軽半島が突出し,間に陸奥湾を抱く。中央に奥羽山脈があり,東部は三本木原洪積台地,西部は岩木川のつくった津軽平野が開ける。中央を南北に走る那須火山帯には恐山(おそれざん),八甲田山十和田の諸火山が,西部の鳥海火山帯には岩木山がある。寒冷で,特に東部は〈やませ〉と呼ぶ寒冷な偏東風が吹き,冷害を受けることがある。〔産業〕 産業別人口構成は第1次14.0%,第2次21.4%,第3次63.7%(2005)で,第1次人口比率は全国一。農業は津軽平野を中心に産する米とリンゴが代表的な作物で,リンゴは全国の収穫量の50%(2003)を占める。東部の三本木原などの台地では畑作が行われる。県の面積の6割を国有林が占め,ヒバの美林は有名で,各地で製材が盛ん。太平洋岸の八戸(はちのへ)は三陸沖をひかえた漁港で水産加工が活発であり,1963年新産業都市に指定されて鉄鋼・セメント工業も立地,工業港としても発展している。一方1970年代に本格化したむつ小川原開発計画は修正され,上北郡六ヶ所村に石油備蓄基地,核燃料サイクル施設の建設が進められた。十和田湖,八甲田山を含む十和田八幡平(はちまんたい)国立公園下北半島国定公園津軽国定公園のほか,種差(たねさし)海岸,城下町弘前などが代表的な観光地である。1993年白神山地が世界遺産条約の自然遺産リストに登録された。〔交通〕 青森市は東北新幹線北海道新幹線奥羽本線,津軽線の発着点で,津軽半島の竜飛(たっぴ)崎を経る青函トンネルによって北海道と結ばれ,郊外には青森空港もあり県交通の中心をなす。県中央部を南北に東北自動車道(1986年開通),東部を八戸自動車道(1989年開通),東北新幹線(2010年新青森まで全通)が走る。下北半島部は大湊線が通じるが,まだ不便である。80年間就航した青函連絡船は,青函トンネルの開通により,1988年3月廃止された。また青函トンネルはその後改築され,2016年には東北新幹線を延長する形で北海道新幹線が新函館北斗まで開通している。 2011年3月,東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生,太平洋側を中心に大きな津波の被害に襲われた。
→関連項目青い森鉄道[株]いちご煮東北地方

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