青柳(読み)あおやぎ

精選版 日本国語大辞典 「青柳」の意味・読み・例文・類語

あお‐やぎ あを‥【青柳】

[1] 〘名〙
① 春の芽吹きから新緑にかけての青々とした柳。→青柳の。《季・春》
万葉(8C後)五・八一七「梅の花咲きたる園(その)阿遠也疑(アヲヤギ)は蘰(かづら)にすべく成りにけらずや」
② 襲(かさね)の色目の名。表裏とも濃い青色。両面萠葱(もえぎ)ともいう。一説に、表は濃い青、裏は紫色。春、着用する。青色柳。あおやなぎ。
浄瑠璃・加増曾我(1706頃)五「水の緑もあをやぎの五衣のそば取って」
③ 「青い麦」をいう女房詞
④ 「ばかがい(馬鹿貝)」のむきみの異称。
※兎(1972)〈金井美恵子〉「レモン汁をかけて食べる生の平貝やアオヤギやミル貝」
大豆の一品種。種子が豊かでまるく、大粒で黄色のもの。埼玉県が主産地。
[2]
[一] 曲名。催馬楽(さいばら)。律の歌。歌詞は、「青柳を片糸によりてや、おけや、鶯の、おけや、鶯の、縫ふといふ笠は、おけや、梅の花笠や」
[二] 箏曲(そうきょく)。八重崎検校作曲。三味線尺八でも流行した。
[三] 料理茶屋の名。近世、文化(一八〇四‐一八)の頃から明治初年まで、江戸両国の駒留橋付近にあった。

あお‐やなぎ あを‥【青柳】

[1] 〘名〙
※万葉(8C後)五・八二一「阿乎夜奈義(アヲヤナギ)梅との花を折りかざし飲みての後は散りぬともよし〈満誓〉」
[2] =あおやぎ(青柳)(二)(一)

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デジタル大辞泉 「青柳」の意味・読み・例文・類語

あお‐やぎ〔あを‐〕【青柳】

青々と葉をつけた柳。あおやなぎ。 春》
バカガイのむき身。 春》
かさねの色目の名。表裏とも濃い青、または表は青、裏は薄青。春に用いた。
[補説]曲名別項。→青柳
[類語]猫柳川柳枝垂れ柳

あおやぎ【青柳】[曲名]

催馬楽さいばらの曲名。
箏曲。八重崎検校作曲。

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日本歴史地名大系 「青柳」の解説

青柳
あおやぎ

永禄一二年(一五六九)二月二四日の武田信玄判物写(佐野氏古文書写)によれば信玄は、佐野惣左衛門尉に佐野与三右衛門分「淀師・青柳」のうち一六貫文、鈴木善次郎分「木船」の七貫文の地、富士兵部少輔分「後代村」の一貫文の地などを与えている。青柳は現富士宮市ひがし町字青柳に、木船きぶねは同市貴船きぶね町・西にし町内の字木舟きぶね付近に、後代うしろ村は同市みや町付近にそれぞれ比定される。同年七月一一日、武田氏は小林七郎左衛門尉に青柳のうち三貫文ほかを与えており(「武田家朱印状写」竹川文書)、いずれも武田氏の駿河侵攻の際に新たに武田方に属して戦った恩賞として与えられたものである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青柳」の意味・わかりやすい解説

青柳
あおやぎ

山梨県南巨摩(みなみこま)郡富士川町(ふじかわちょう)北東部の一地区。江戸時代から明治後期まで富士川舟運の盛んなころ、甲州三河岸(こうしゅうさんかし)(山梨県)の一つとして、下流に隣接する鰍沢(かじかざわ)などとともに栄えた。当時は市川代官支配村のお米蔵をはじめ多くの倉庫や問屋、料亭などが立ち並んでいた。いまも昌福寺(しょうふくじ)(日蓮(にちれん)宗)などの名刹(めいさつ)がある。

横田忠夫

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青柳」の意味・わかりやすい解説

青柳
あおやぎ

地歌箏曲の曲名。
(1) 三味線組歌。裏組。柳川検校作曲。
(2) 『新青柳』ともいう本調子手事物。石川勾当作曲。謡曲遊行 (ゆぎょう) 柳』を詞章原拠とする。箏の替手式の旋律は八重崎検校作曲で,京風手事物の代表曲の一つ。『八重衣』『融 (とおる) 』とともに「石川の三つ物」といわれる。

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普及版 字通 「青柳」の読み・字形・画数・意味

【青柳】せいりゆう

緑の柳。

字通「青」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「青柳」の解説

青柳

長崎県長崎市にある料亭。1793年創業の料亭、杉本家が前身。卓袱(しっぽく)料理が名物。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「青柳」の解説

青柳 (アオヤギ・アオヤナギ)

植物。新緑の柳、または、大豆の栽培品種

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世界大百科事典(旧版)内の青柳の言及

【増穂[町]】より

…甲府盆地の南西部,富士川西岸に位置し,櫛形山(2052m)を中心とした西部の山地と,東流して富士川に注ぐ利根川,戸川が形成した複合扇状地から成る。中心の青柳は江戸時代,富士川舟運の河岸,甲州商人の拠点として栄えたところで,現在も国道52号線に沿って商工業が発達している。養蚕中心だった農業はブドウ,桃の果樹,トマトなど野菜の栽培へと多角化が進む。…

※「青柳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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