青崩峠(読み)あおくずれとうげ

日本歴史地名大系 「青崩峠」の解説

青崩峠
あおくずれとうげ

水窪町の北端、長野県下伊那しもいな南信濃みなみしなの八重河内やえごうちとの境にある。標高一〇八二・三メートル。中央構造線上にあり、青崩の名は青味がかった岩のガレ場をさす。今も峠付近は崩れ続けており、自動車での通行は不可能である。峠の東側(外帯)は水窪層とよばれ礫岩砂岩・頁岩が複雑に割込み、西側(内帯)は領家変成帯とよばれ、とくに峠より瀬戸野沢せどのざわ付近までは圧砕作用を受けた岩石層が分布している(「水窪町史」など)。県指定史跡。元亀三年(一五七二)遠江に侵攻した武田信玄軍勢は当峠を越えて南下したという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「青崩峠」の意味・わかりやすい解説

青崩峠
あおくずれとうげ

静岡県浜松市天竜区水窪町(みさくぼちょう)と長野県飯田市(いいだし)南信濃(しなの)地区との間の峠。標高1082メートル。地質構造上有名な中央構造線がこの峠を通り、南北に走るので、地形的には通谷となっている。遠州(静岡県)と信州(長野県)とを結ぶ交通路や、秋葉(あきば)神社への参詣(さんけい)道が峠を越え、信州街道秋葉街道、塩の道などとよばれた。1996年(平成8)静岡県の史跡、1999年には南信濃村(現、飯田市)の史跡に指定されている。破砕帯が通過するために山地の崩壊が激しく、国道152号も峠の区間は未開通で、国道474号(三遠南信道)と兵越峠(ひょうごしとうげ)を越える林道がその迂回(うかい)路となっている。

[北川光雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青崩峠」の意味・わかりやすい解説

青崩峠
あおくずれとうげ

静岡県西部の浜松市長野県南部飯田市の境,中央構造線を通る信州街道 (秋葉街道 ) 上の峠。標高 1082m。その名は北側にある青色をした岩石の山崩れに由来する。国道 152号が通る。

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