(読み)もや

精選版 日本国語大辞典 「靄」の意味・読み・例文・類語

もや【靄】

〘名〙 非常に細かい水滴吸湿性粒子が空気中に浮遊している現象。水平方向の視程は一キロメートル以上で、湿度は霧よりも低く、灰色に見える。比喩的にも用いる。
日葡辞書(1603‐04)「Moyaga(モヤガ) ヲリタ」
※秘密(1911)〈谷崎潤一郎〉「凡べての物が一つになって、渾然たるミステリーの靄の裡に私を投げ込んで了って居る」

もや・る【靄】

〘自ラ五(四)〙 もやがかかる。比喩的にも用いる。
女面(1958)〈円地文子〉一「うっとり靄(モヤ)った瞳をもう一度富士山の方へ返した」

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デジタル大辞泉 「靄」の意味・読み・例文・類語

もや【×靄】

大気中に無数の微小な水滴が浮遊し、遠方がかすんで見える現象。気象観測では視程1キロ以上の場合をいい、1キロ未満のと区別する。
[類語]ガススモッグ光化学スモッグ朝靄夕靄夕煙

あい【靄】[漢字項目]

[音]アイ(呉)(漢) [訓]もや
もや。「晩靄
雲やかすみがたなびくさま。「靄靄

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改訂新版 世界大百科事典 「靄」の意味・わかりやすい解説

靄 (もや)

吸湿性の微粒子エーロゾル)が空気中に多数浮かんでいるか,それが微水滴となって浮遊していると,遠くのものが灰色にかすんでみえる。このような現象のうち気象学では,視程が1km以上の場合を〈もや〉と呼んで,1km以下のと区別している。もやの中の湿度は霧の場合より低いが,煙霧の中よりは高い。もやの原因となる吸湿性微粒子には,海水のしぶきからできた海塩核や,燃焼生成核などがある。
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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【霧】より

…微小水滴は光を散乱,吸収するので,霧の中では見通しが悪くなり,時には数m先が見えなくなることもある。薄い霧では500m~1km先が見えるが,気象観測では見通せる距離(視程)が1km以上の場合はもや(靄)と呼んで霧と区別している。目の高さの水平視程は1km以下であるが,天空がかすかにでも見えるくらいのものを〈低い霧〉,目の高さの水平視程はよくても地面に近いところに霧のある場合を〈地霧〉と呼んでいる。…

※「靄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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