霧島(市)(読み)きりしま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧島(市)」の意味・わかりやすい解説

霧島(市)
きりしま

鹿児島県北東部、鹿児島湾(錦江湾(きんこうわん))の北岸に位置する市。2005年(平成17)国分市(こくぶし)と姶良(あいら)郡溝辺町(みぞべちょう)、横川町(よこがわちょう)、牧園町(まきぞのちょう)、霧島町、隼人町(はやとちょう)、福山町が合併して成立。西は姶良市、薩摩(さつま)郡さつま町、北は姶良郡湧水(ゆうすい)町、宮崎県えびの市に、東は曽於(そお)市、宮崎県都城(みやこのじょう)市、小林市などに接し、南西は鹿児島湾に面する。市域の北東および南部には霧島山系と高隈(たかくま)山系に連なる高山が続く。これら山地に発する霧島川、検校(けんこう)川、天降(あもり)川がシラス台地を南流しながら侵食、急崖をなして鹿児島湾に注ぎ、海岸部は遠浅で干拓地もある。JR日豊本線(にっぽうほんせん)が中央部を横断し、北部を同線から分岐した肥薩線が縦断する。市域の北西部には鹿児島空港が所在。西部を九州自動車道が、南部を東九州自動車道が走り、前者には横川、溝辺鹿児島空港、後者には隼人東、国分、隼人西の計5インターチェンジがあり、ほかに霧島スカイライン、国道10号、220号、223号、504号なども整備される。これら交通機関を利用して、霧島錦江湾国立公園に属する霧島火山群の自然、豊富な温泉群(霧島温泉郷、霧島神宮温泉郷、新川(しんかわ)渓谷温泉郷)、霧島神宮をはじめ天孫降臨神話にまつわる諸遺跡、国指定史跡の大隅国分寺跡(おおすみこくぶんじあと)などを、多くの観光客が訪れている。

 国分府中(ふちゅう)は大隅国府の所在地と推定され、古代には大隅地方の中心地であった。江戸時代には島津氏が河川整備、新田開発などの大土木事業を行った。1606年(慶長11)島津氏の家臣が栽培したのが起源とされる国分煙草(たばこ)は、鹿児島藩の主要な財源の一つとなった。現在、米、茶、ナス、トマト栽培などの農業、牧畜業、また福山黒酢、竹細工、錫(すず)器製造などの伝統産業も盛ん。近年は高度技術産業集積地域に指定されて、京セラ、ソニー(現、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)などの先端技術産業も進出している。面積603.16平方キロメートル、人口は12万3135(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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