震度計(読み)しんどけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「震度計」の意味・わかりやすい解説

震度計
しんどけい

ある地点における地震による揺れの強さを測定する器械計測震度計ともよばれる。体感震度は、人体感覚による地震の揺れの強さを表す物差しとして、明治時代から100年以上日本で観測が行われてきた。揺れの強さは、気象庁震度階という震度の解説表を参考に観測者が決めていた。しかし、体感震度は観測が有人場所に限られること、また観測者による個人差もあるため、震度を器械によって客観的に測定することが求められるようになり、1980年代に開発が始められ1990年代に観測が始まった。体感震度は、揺れの周期、揺れの継続時間、縦揺れが卓越するか横揺れが卓越するかなど、人体感覚による複雑な要素で決まるため、器械により体感震度と同じ震度を厳密に求めることはむずかしい。震度計では観測した加速度地震波形を数値的に処理し、人体感覚でもっとも敏感な1秒周期の揺れを中心に、体感にあわせた周期による振幅補正を施したうえで、継続時間も考慮した振幅から震度を0.1刻みで計算している。最終的な震度は、小数点以下を四捨五入した数値で表されるが、震度5と震度6は、0.5刻みで、5弱、5強、6弱、6強の4段階に分けられ、震度0~4、震度7を含めて10段階で表される。当初は継続時間の短い短周期の揺れで、体感より大きな震度が出るなどの問題があったが、計算方法に何度か改良が加えられ、現在では計測震度は、体感震度とほぼ同等な値が求められるようになった。計測震度計により測定された震度は計測震度とよばれ、体感震度とは区別されるが、一般には区別なく震度として扱われる場合が多い。計測震度と体感による揺れの関係は、気象庁の震度階級関連解説表による解説がある。

 計測震度計は1994年(平成6)までに、全国の気象台測候所に設置されたが、1995年兵庫県南部地震による震災の後、気象庁が増設した約600の観測点に加え、市役所町役場など地方自治体の施設にも設置されるようになり、2013年(平成25)時点で全国に約4300点の観測点がある。これらの観測点で観測した震度は、自動的に気象庁へ通報され、気象庁が発表する地震情報で、各地の震度として公表され、地震発生後早い段階で、強い揺れのあった地域を特定することができるようになった。計測震度計の設置場所については、地盤の条件がよくない場所では周囲と比べ異常な震度を観測するなどの問題が起きるため、震度計設置環境基準を設けて、条件がよくない場合には観測点の移設を図るなど、均質な観測が行われるように努力が続けられている。

[浜田信生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「震度計」の解説

震度計

地震動を測定し、震度を自動的に表示する装置。震度計は加速度波形のスペクトルをある周期範囲について求め、その最大値を周期によって補正するなど、やや複雑な計算をして計測震度を自動的に算出する。1990年に開発され、全国3000カ所以上に設置されている。

(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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