電磁単位系(読み)でんじたんいけい(英語表記)electromagnetic system of units

改訂新版 世界大百科事典 「電磁単位系」の意味・わかりやすい解説

電磁単位系 (でんじたんいけい)
electromagnetic system of units

単位系の一種。記号emuで表す。磁気量mをもつ二つの点磁極が互いに距離rだけ隔たって存在するとき,両者に作用する力fは,比例定数hとして,fhm2/r2で表されるが,いまhは無次元でその値は1に等しいと取り決めれば,mf1/2rとなるから,磁気m単位を(力の単位)1/2×(長さの単位)と定義することができ,それをもとにして他の電磁気的な量の単位をも定めることができる。このようにして定められる単位の集団を電磁単位系という。長さ,質量,時間の単位をそれぞれセンチメートルcm),グラム(g),秒(s)とする場合,力の単位はダイン(dyn)で,磁気量の単位はdyn1/2・cm,すなわちcm3/2・g1/2・s⁻1となるが,この系統の単位の集団はCGS電磁単位系と呼ばれ,それに属する単位のうち磁束密度,磁場の強さ,磁束,起磁力の単位にはそれぞれガウス(Gs,G),エルステッドOe),マクスウェルMx),ギルバート(Gb)という別称がつけられている。そのほかMKS電磁単位系などもある。今日の国際単位系の立場からすれば推奨しがたい。
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百科事典マイペディア 「電磁単位系」の意味・わかりやすい解説

電磁単位系【でんじたんいけい】

長さ,質量,時間のほかに,クーロン法則によって定義される磁極の強さを基本単位とする単位系。electro-magnetic unitの頭文字をとってemuと略称。CGS電磁単位系では,センチメートル,グラム,秒のほかに,真空透磁率を値1の無次元量として,真空中で1cmの距離にあって互いに1ダインの力を及ぼす二つの相等しい磁極のおのおのの強さを,1CGS電磁単位の磁極の強さとする。電流と磁気の相互作用を表すのに便利であるが,今日では国際単位系SI)に置き換えられている。→ガウス単位系静電単位系
→関連項目国際単位CGS単位系単位

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電磁単位系」の意味・わかりやすい解説

電磁単位系
でんじたんいけい

CGS単位系に、磁気に関するクーロンの法則を利用して定めた電磁気量の単位を加えた単位系。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電磁単位系」の意味・わかりやすい解説

電磁単位系
でんじたんいけい
system of electromagnetic units

電磁気の単位系の1種で,emuと略記する。2つの磁荷の間に働く力を表わすクーロンの法則を用いて,磁荷の単位を力学単位から組立て,これを通じてすべての電磁気量の単位が力学単位で組立てられている単位系。磁気量を扱うのに便利である。

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