電流分布(読み)デンリュウブンプ

化学辞典 第2版 「電流分布」の解説

電流分布
デンリュウブンプ
current distribution

導体内部における電流線の分布.電解の場合,電極を含む電解槽内の電流分布が問題となる.電極表面上における電流分布の均一性は,厚さ一様な電気めっきを得ようとする場合で,とくに必要な条件である.一般に,電解槽内の電流分布を支配する因子には,容器や電極の形状や配置などの幾何学的因子,電解液や電極の抵抗などの電気的因子のほか,電解液と電極との界面に存在する電気化学的な反応抵抗を考える必要がある.この界面抵抗は,電解時に界面に電位差,すなわち過電圧を発生させる.電解槽内の電場を考える場合に,この過電圧を無視するか,または過電圧が電極面で均一であると仮定して,静電場の電磁気学的取り扱いから得られる電流分布を一次電流分布という.これに対し,過電圧の因子を考慮して求めたものを二次電流分布といい,電気めっきの分野ではとくに重要な意味をもつ.このような現実の電流分布の理論的解析は一般に容易ではない.電解槽内の各点の電位の実測値から等電位面を作図して求める方法は,面倒であるが正確である.一つの電解槽内に多数の同一極性の電極が並列に置かれた場合,個々の電極に流れる電流の間の均一性は,電流効率に大きな影響を及ぼす.このため,電解槽の設計や電解条件を工夫して,電極相互間の電流分布を均一に保つようにする.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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