電気推進船(読み)デンキスイシンセン

デジタル大辞泉 「電気推進船」の意味・読み・例文・類語

でんきすいしん‐せん【電気推進船】

蓄電池などの電源を積載し、モーター原動機とする船。とくに燃料電池を電源とするものは、燃料電池船ともいう。EV船

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百科事典マイペディア 「電気推進船」の意味・わかりやすい解説

電気推進船【でんきすいしんせん】

電動機スクリュープロペラを駆動する船。蒸気タービンディーゼルエンジン発電機運転。発電機・電動機とも同期機を用いるのが普通で,両者の回転数の比(一定)が減速歯車に相当する。砕氷船などの特殊目的以外にはあまり用いられない。
→関連項目汽船

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気推進船」の意味・わかりやすい解説

電気推進船
でんきすいしんせん

電動機(モーター)でプロペラ軸を駆動して推進する船。普通の船はディーゼル機関または蒸気タービンでプロペラ軸を駆動するが、電気推進方式では、これらの主機関で発電機を回し、その電力で電動機を運転する。この方式の特徴は、スイッチの切り換えで簡単に起動停止または逆転ができるので操作性がよいことである。またタービン船で必要な後進用タービンあるいはディーゼル機関で必要な前後進切換え装置を必要としないため、後進にも前進と同じ馬力が急速に出せる。これらは砕氷船にとって非常に好都合なので、砕氷船はほとんどこの方式を採用している。

[森田知治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電気推進船」の意味・わかりやすい解説

電気推進船
でんきすいしんせん
electric propulsion ship

内燃機関からの動力をいったん電力に変え,電動機で推進器を駆動させる船舶。利点としては,(1) 減速比が任意に変えられる,(2) 操縦が容易,(3) 逆転が簡単にできるので,後進用タービンがいらない,(4) 荒天時の水面露出においても過速することがないなどであるが,船価が高くなるので,貨物船にはほとんど用いられない。大型客船の場合,空調用電源との総合的運用,配置上の利点などから採用されることが多くなっている。

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世界大百科事典(旧版)内の電気推進船の言及

【汽船】より

…19世紀の初め,機械力による動力船として最初に実用化されたものが蒸気機関を用いたものだったところから,これを備えた船を蒸気船,または汽船と呼んだ。しかし,その後動力源としてディーゼルエンジン,電動機やガスタービン,さらには原子力が利用されるようになったことに伴って,現在ではこれらのディーゼル船,電気推進船,ガスタービン船,原子力船も汽船のうちに含め,動力船と汽船とが同義に使われるようになっている。 蒸気船の発明者はR.フルトンとされる場合が多いが,実際にはフランスのD.パパンの実験船(1707),アメリカのJ.フィッチの船(1787)などの先駆がある。…

【舶用機関】より

…また原子力機関,ガスタービンはもっぱら軍艦に使用されている。なお,電気推進機関というのは,原動機で発電機を駆動して発電し,この電気によって推進用電動機を動かす方式(電気推進)のことをいい,電気推進を用いた船を電気推進船と呼んでいる。一般には,砕氷船のような特殊目的以外にはほとんど使われない。…

※「電気推進船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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