電子温度(読み)デンシオンド(英語表記)electron temperature

デジタル大辞泉 「電子温度」の意味・読み・例文・類語

でんし‐おんど〔‐ヲンド〕【電子温度】

プラズマなどで、自由電子エネルギー分布に対応する温度。非平衡状態ではイオン温度と大きく異なる値をもつ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子温度」の意味・わかりやすい解説

電子温度
でんしおんど
electron temperature

電子の運動エネルギーの大きさを表わすために,熱エネルギーの式にあてはめて求めた温度のこと。実際の温度とは一致しない。気体放電電離層など一般にプラズマ中の電子は,種々の向きに種々の速さをもって熱運動をしており,ある速さの電子の数はマクスウェル=ボルツマン分布で与えられる。したがって個々の電子の運動エネルギーはそれぞれ異なった値をもつが,すべての電子について平均すると,電子1個の熱運動エネルギーは (1/2)mv2=(3/2)kT である。 m は電子の質量v2速度の2乗の平均値,kボルツマン定数で,T を電子温度という。電子は質量が小さいので電場からエネルギーを受けやすく,他の粒子との衝突に際してエネルギー損失が少いので,電子温度は高い。ケイ光灯の電子温度は 10000℃ぐらいである。電子温度はプラズマ中に置かれた小さい電極の電位に対する電流の関係から求めることができる。これを探極法という。

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化学辞典 第2版 「電子温度」の解説

電子温度
デンシオンド
electron temperature

荷電粒子を含み,全体として中性が保たれている気体(プラズマ)において,電子のエネルギー分布に対応する温度を電子温度,またイオンのそれに対応する温度をイオン温度という.荷電粒子は外部電場によって加速されてエネルギーを増加するが,粒子相互の衝突によって,電子およびイオンは電場によって決まるそれぞれの定常状態に達する.電子は衝突によるエネルギー損失が非常に小さいので,その温度はイオンあるいは中性粒子のそれに比べて一般に高い.家庭用に使われている蛍光灯内の電子温度は,数万K 程度である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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