電子伝達系(呼吸)(読み)デンシデンタツケイコキュウ

化学辞典 第2版 「電子伝達系(呼吸)」の解説

電子伝達系(呼吸)
デンシデンタツケイコキュウ
(respiratory)electron transport system

好気的細胞において,種々の脱水素反応で生じた水素は,ミトコンドリア内に存在する一連の酸化還元物質の集合体(電子伝達粒子)で構成される電子伝達系(呼吸鎖)によって電子が伝達され,最終的には酸素を還元し,水にする反応系をいう.電子伝達系の成分は,シトクロム類(cyt),フラビンタンパク質(FP),非ヘム鉄(FeS),補酵素Q(CoQ)などで,それらが脂質を含んだ膜系に結合している.電子伝達の過程で生じたエネルギーは,アデノシン5′-三リン酸(ATP)の合成に使用される.もっとも一般的な電子伝達系は次のようである.

   NAD → FP → CoQ → cyt b → cyt c → cyt a → O2   

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)はニコチンアミド系ヌクレオチドである.[別用語参照]酸化的リン酸化

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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