雷山神籠石(読み)らいざんこうごいし

日本歴史地名大系 「雷山神籠石」の解説

雷山神籠石
らいざんこうごいし

[現在地名]前原市雷山・飯原

雷山(九五五・四メートル)の北側中腹、標高約四〇〇―四八〇メートルにある。国指定史跡。やや広い谷部の北と南をさえぎる形で列石土塁線が巡らされている。中央部を谷川が流れ、その入水・排水口として南と北に水門が築かれており、とくに北水門は堅固な石塁で三つの水門がある。雷山を含む一連の神籠石は、現在は山城とみるのが通説で、出土遺物から七世紀代に築城されたと考えられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「雷山神籠石」の解説

らいざんこうごいし【雷山神籠石】


福岡県糸島市雷山・飯原にある城跡。標高955mの雷山の北中腹、標高400~480mの山中に築かれた古代山城で、城の範囲は東西300m、南北700mほどと推定される。1932年(昭和7)に国の史跡に指定された。遺構としては、谷の南北に築かれた水門とそれから東西に延びる列石群がある。南水門には列石の下部に設置された暗渠(あんきょ)の水門跡と石塁の一部に水樋を設け、そこから流水する水門跡が2種類、さらに、南水門一帯には門跡と思われる列石の切れ間が2ヵ所確認された。北水門は切石を長さ12m、幅10m、高さ3mに積み上げた強固な造りになっており、水門の東西両端からは列石が「ハ」の字形に開きながら尾根頂上に向けて急斜面を登っている。神籠石とは高良山神籠石(福岡県久留米市)に代表されるように、列石が宗教上の神域と合致していたことから霊域を示すものと考えられ、現在では北部九州から瀬戸内海にかけての西日本一帯で十数例を確認。築造年代については、発掘調査の成果や『日本書紀』の内容から7世紀中葉とする説が最も有力視されている。JR筑肥線筑前前原駅からコミュニティバス「雷山観音前」下車、徒歩約40分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android