雲萍雑志(読み)ウンピョウザッシ

デジタル大辞泉 「雲萍雑志」の意味・読み・例文・類語

うんぴょうざっし〔ウンピヤウザツシ〕【雲萍雑志】

江戸後期の随筆。4巻。柳沢淇園やなぎさわきえん著と伝えられるが未詳。天保14年(1843)刊。和漢混交文で、志士仁人言行を取り上げ、勧善懲悪などの道徳を説いている。

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精選版 日本国語大辞典 「雲萍雑志」の意味・読み・例文・類語

うんぴょうざっし ウンピャウザッシ【雲萍雑志】

江戸後期の随筆。四巻四冊。柳沢里恭淇園)著と伝えられるが疑わしい。天保一四年(一八四三)刊。和漢混淆文で、志士や仁者の言行をあげ、近世儒教思想をもとに勧善懲悪などの道徳を説いた説話集的色彩が強い。

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改訂新版 世界大百科事典 「雲萍雑志」の意味・わかりやすい解説

雲萍雑志 (うんぴょうざっし)

江戸後期の随筆。柳沢淇園(きえん)著。1843年(天保14)刊。4巻4冊。淇園は郡山藩重臣であって,その20巻余の自筆本を,大坂木村蒹葭堂けんかどう)が1796年(寛政8)に入手し,これを桃花園中山某が校訂し《雲萍雑志》と題し,江戸の書肆が請いもとめて刊行したもの。しかし,作者については桃花園や出版に関係した山崎美成などが淇園に仮託した偽作である,という説もある。平明な和漢混交文をもって記され,著者が日ごろ見聞した志士仁人の言行を,儒教的態度をもって批判的に録している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲萍雑志」の意味・わかりやすい解説

雲萍雑志
うんぴょうざっし

江戸中期の随筆。4巻4冊。1842年(天保13)江戸刊。文雅人柳沢淇園(きえん)の随筆とされ、明治以来翻刻も多いが、作者についてはなお疑問が残る。内容は作者が日常聞き及んだ志士仁人の言行逸話、自家の経歴などを記して興趣に富むが、全体に道徳臭が強く、粋人淇園のおもかげはみいだせない。序文に、淇園の20巻に及ぶ原稿を大坂の木村蒹葭堂(けんかどう)が珍蔵し、桃花園某がそれを抜粋、4巻にまとめて成ったことを記してあるが、桃花園および出版に関係した江戸の雑学者山崎美成(よししげ)が、淇園の名声に付会した偽作であろうとされる。

[中野三敏]

『森銑三校訂『雲萍雑志』(岩波文庫)』『『森銑三著作集11』(1974・中央公論社)』

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百科事典マイペディア 「雲萍雑志」の意味・わかりやすい解説

雲萍雑志【うんぴょうざっし】

江戸後期の随筆。4巻4冊。1842年刊。各巻巻頭に〈柳里恭稿〉とあるところから,郡山藩の重臣にして儒者,画人である柳沢淇園(きえん)の著とされていたが,山崎美成あるいは序文にみえる桃花園の偽作とする説もある。内容は著者の日ごろ見聞した諸士の言行,自己の経歴等を記す。

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