雲版(読み)うんぱん

精選版 日本国語大辞典 「雲版」の意味・読み・例文・類語

うん‐ぱん【雲版】

〘名〙
① 寺で時報などを知らせるために打ち鳴らす、青銅または鉄で作った雲形のもの。主に禅寺庫裡(くり)斎堂の前にかける。大版。火版(こばん)。斎版。
※永平道元禅師清規(13C中)赴粥飯法「次聞厨前雲版鳴」 〔燕子箋‐試窘〕
色紙短冊などを入れて壁に掛ける額の一種。形はまるいのが普通で、長方形もある。表面にはガラスをはめる。
選挙立会人(1924)〈佐佐木茂索〉「見慣れない雲板(ウンパン)のかかってゐるのを認めた。〈略〉古ぼけた罫紙(けいし)二枚入ってゐた」

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デジタル大辞泉 「雲版」の意味・読み・例文・類語

うん‐ぱん【雲版】

禅宗寺院で、時報の合図などとして打ち鳴らす雲形の板。青銅または鉄板製。鐘板しょうばん打板ちょうばん
色紙や絵などを入れる、丸形または方形の額。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲版」の意味・わかりやすい解説

雲版
うんぱん

おもに禅宗寺院で庫裡(くり)(台所)または斎堂(さいどう)(食堂(じきどう))の前にかけ、坐禅(ざぜん)をやめる(開静(かいじょう))時刻や食事の時刻を大衆(だいしゅ)に知らせるため打ち鳴らす器具。青銅もしくは鉄製の平板で雲形をなしている。粥飯(しゅくはん)が蒸しあがって火を引くときに三打するのを火版、応量器(おうりょうき)(僧侶(そうりょ)の食器)を下げるときに長打するのを長版という。浄土宗では板木(ばんぎ)や喚鐘(かんしょう)の代用として集会などの合図に用いられることがある。また色紙、短冊(たんざく)を入れて鑑賞する円形や長方形の額も雲版とよばれる。

[中尾良信]

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