離婚後300日規定(読み)りこんご300にちきてい/りこんごさんびゃくにちきてい

知恵蔵 「離婚後300日規定」の解説

離婚後300日規定

離婚後300日以内に生まれた子は「前夫の子」と推定することを定めた民法772条の規定。1891(明治31)年の施行時には、扶養義務を負う父親を法的に明確化することで、子の権利を保護する意味があったが、離婚や再婚が多い現在、現夫の子なのに法的には「前夫の子」とされる例が増え、問題化した。妊娠から出産にかかる日数は260〜280日程度で、300日に科学的根拠はない。 2007年の通常国会では、自民党内で若手議員を中心にしたプロジェクトチームが議員立法で民法の規定を見直す案をまとめた。野党公明党も積極姿勢を見せていたため、立法機運が高まったが、自民党内の保守派が「家族観が崩壊する」「不倫を助長する」と反対し、頓挫した。 一方で、法務省はこうした声を受けて同年5月、離婚後の妊娠が医師の証明で明らかな場合に限って「前夫の子ではない」出生届を認める民事局長通達を出した。しかし、通達の対象になるのはこの問題を訴える人の1割程度とされており、離婚前の妊娠でもDNA鑑定父子関係が証明できる場合など、一定の条件を満たせば対象にできるように更なる見直しを求める声が根強い。

(市川美亜子 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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