雑賀孫市(読み)さいかまごいち

百科事典マイペディア 「雑賀孫市」の意味・わかりやすい解説

雑賀孫市【さいかまごいち】

戦国末期,本願寺門徒勢力の強い紀伊国紀ノ川下流域を本拠とした土豪で,雑賀一揆の指導者の一人。鈴木孫市重秀,平井孫市ともいう。生没年不詳。石山合戦では本願寺方の大将として織田信長に抵抗。本願寺と信長の間で和議が成立すると雑賀一揆内部で分裂が起き,在地を追われた孫市は豊臣秀吉に仕え,小田原征伐にも参加したという。その後水戸藩の家老職についている。なお現和歌山市平井にある蓮乗寺は孫市道場ともよばれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「雑賀孫市」の意味・わかりやすい解説

雑賀孫市 (さいかまごいち)

戦国末期紀伊国紀ノ川下流域に勢力をもった土豪。生没年不詳。海部郡雑賀荘の土豪鈴木佐太夫の子。名草郡貴志荘平井村が本拠。鈴木孫市重秀,平井孫市ともいう。本願寺門徒の勢力の強い地域の中にあって,孫市も道場をもち指導的立場にあった。石山本願寺一揆では本願寺方の大将として門徒を統轄し,織田信長に抗戦した。石山本願寺一揆中から雑賀では土豪間の対立があったが,1585年(天正13)豊臣秀吉の紀州征伐のとき,秀吉方に加わり,対立する土豪を滅ぼした。小牧長久手の戦では徳川方に参加し,秀吉の小田原攻めでは150騎を率いて陣立に加わった。のち水戸藩の家老職につき3000石を給せられた。
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