雑公事（読み）ぞうくじ

精選版 日本国語大辞典

ぞう‐くじ ザフ‥【雑公事】

〘名〙 荘園領主が各地の荘園から収納した雑税の一種。莚(むしろ)・油・布・餠・折敷その他の日常の生活必需品が納められた。

※芸藩通志‐一八・建久七年（1196）一〇月日・厳島神主佐伯清元解「内部御庄内清元名恒安作田畠并在家雑公事子細状」

出典　精選版 日本国語大辞典

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

雑公事
ざつくじ

日本の荘園領主の収取する公事 (くじ) のうち，夫役 (ぶやく) を除いたさまざまの生産物税。当時の用語では万雑公事 (まんぞうくじ) ，雑々済物 (ぞうぞうなしもの) と呼ばれ，本来は律令制の調，庸，雑徭 (よう) と同じように人頭税として名主の負担であったが，名田の面積，種類に応じて賦課することも多かった。ぬか，わら，むしろなど耕作の副産物，野菜，漆，紙，麻，綿，糸，絹のような日用の特産物をはじめ，正月や節供のための用品も含まれた。鎌倉時代以後，「…銭」という名で銭納化されるようになり，江戸時代の小物成，浮役 (うきやく) に転化したものとみられる。

雑公事
ぞうくじ

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山川 日本史小辞典 改訂新版

雑公事
ぞうくじ

⇒万雑公事(まんぞうくじ)

出典　山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」

世界大百科事典（旧版）内の雑公事の言及

【公事】より

…しかし公事の経済的負担の側面の比重が高まると，負担能力は土地(田畠)や家(在家)の数量で評価され，公事は田畠･在家数に基づいて課され，公事を負担する田畠･在家はとくに公事田，公事畠，公事屋等と呼ばれた。こうしてさまざまな公事が荘園，所領や国衙領の田畠･在家に課されるようになり，それらはあわせて〈雑公事〉とか〈万雑公事（まんぞうくじ）〉とかいわれた。雑公事が免除される田畠･在家もあったが，これらは免田，免畠，免在家と呼ばれ，特定の公事を務める人に対して報酬として免除されたものであって，その人はそれらの田畠･在家から雑公事分の得分を得ていた。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」