集成材(読み)シュウセイザイ(英語表記)laminated wood
glulam

デジタル大辞泉 「集成材」の意味・読み・例文・類語

しゅうせい‐ざい〔シフセイ‐〕【集成材】

多数板材角材接着剤で接合して作った積層材。薄い単板を接着した合板単板積層材と区別していう。

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精選版 日本国語大辞典 「集成材」の意味・読み・例文・類語

しゅうせい‐ざい シフセイ‥【集成材】

〘名〙 二・五センチメートル以上のひき板を、繊維方向を同じにして重ね、接着した合成材。小材で長大な構造材や湾曲材をつくることができる。

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改訂新版 世界大百科事典 「集成材」の意味・わかりやすい解説

集成材 (しゅうせいざい)
laminated wood
glulam

木材の繊維方向に長く切削加工したひき板あるいは小角材を,繊維方向を互いに平行にして接着剤を用いてはり合わせた材料で,おもに建築における柱,はりのような骨組材に用いる。集成材は優れた木材の性質をそのまま引きついでいるばかりではなく,一般の製材品では得られない特徴をさらに付け加えてもっている。すなわち,(1)ひき板,小角材を集成することによって要求される寸法,形状の材料を比較的自由に造ることができる。大断面材,数十mに及ぶ長大材が製造されている。(2)節,腐れなどの欠点除去分散させることにより製品強度のばらつきを小さくすることが可能である。このことにより後で述べる構造用集成材は,製材品よりも約1.5倍の許容応力度が認められている。(3)ひき板は十分乾燥して接着されるので,製品である集成材は当然乾燥済みの製品であり,干割れ,狂いなどを生じにくい。(4)曲率をもったジグを使用することによって,曲り材を容易に製造できる。建築用のアーチ材など,設計どおりの形に成形可能である。(5)乾燥材なので化粧単板を表面にはることができ,外観の美しい材料が得られる。一方,このような集成材を造るためには,材料の切削,欠点除去などによる歩留り低下,接着剤などの副資材の使用,製造エネルギー代など,製品の価格が製材品より高くなりがちである。

 集成材は種々の樹種を用い,種々の条件で製造され,種々の用途に供されるので種類もいろいろに体系づけられるが,最も重要なものは構造用集成材と造作用集成材区分である。JASによれば,構造用集成材は耐力部材に用いうる大きな強度が保証されるもので,ひき板を縦方向につなぐときはフィンガージョイントなど強度の大きい継手を使い,また,レゾルシン樹脂など耐久性の高い接着剤を使用すること,ひき板の積層数も5枚以上(枠組壁工法用のものは4枚以上)と規定されている。敷居鴨居,なげしなどに用いる造作用集成材には上記のような規定はない。集成材には,化粧のために表面に優良材の薄単板をはった製品があり,造作材,構造用の柱などに多い。このような製品は,化粧ばり構造用集成材,化粧ばり造作用集成材と呼ばれる。

 集成材は,欧米においては,大型建築物の構造材としての利用が盛んである。これに対して日本の集成材の利用は,初期においては外国におけると同じように学校,体育館,教会などの建築に,とくにアーチ材として利用されたが,最近では敷居,なげし,鴨居,手すり,カウンターなどに美しい単板を化粧ばりした造作材のほか,和風建築における構造用の柱材として大量に使用されており,集成材の主要な製品になっている。この場合も化粧単板がはられることが多い。今後は日本においても大型建築物の構造用部材としての利用の伸展が期待される。
改良木材
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「集成材」の意味・わかりやすい解説

集成材
しゅうせいざい
laminated lumber

製材した板(ラミナーlaminar)を乾燥し、繊維方向を平行にして、長さ、幅、厚さ方向に集成接着した材。そのおもな特長は、大きな節や割れのような木材の欠点を分散または取り除き、木材の不均一性からくる狂いや乾燥時の割れや反(そ)りが少ない点にある。したがって、製材品より強く、使用時の安定性も高い。また、小径材や残材から長大材ができ、断面寸法などを設計条件から合理的に決められる。形状が湾曲したものも製造可能であり、化粧と構造とを兼ね備え、体育館やレストランなどに使用される例も多い。集成材の製造基準は日本農林規格(JAS(ジャス))で決められているが、造作用と構造用に大きく区分され、さらに表面に天然木目の薄板を張って美観を与えた化粧張りと、そうでないものとに分類されている。とくに柱や長押(なげし)、鴨居(かもい)など内装造作材は日本特有のものである。諸外国では構造用が主体で、その断面が大きく、防火上の安全性が高いことからheavy timber construction(重木構造)とよばれる集成材構造の建築物がある。

[有馬孝

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「集成材」の意味・わかりやすい解説

集成材
しゅうせいざい
glue laminated wood/laminated wood

ひき板または小角材の繊維方向をほぼ平行にし,長さ,幅,厚さ方向に集成,接着した材の総称。従来の木材と比べ,製材の際にでる派生材の再生利用が可能で,また加工により木材の節や割れ,目切れなどを除いて適切な強度の断面をつくりだせる,乾燥材の使用で材の狂いやゆがみが避けられる,長大材や曲げ材などの特殊形状の材をつくりだせる,などの利点がある。品質は日本農林規格 JASによって規定。建物内部の造作に用いる造作用と,構造部材の構造用に大別され,造作用は強度が重視され,特に強度に影響する接着剤はきびしく限定されている。このうち幅 15cm以上,断面積 300cm2以上の大面積のものは,耐火性が認められており,一般木造建築の高さ制限,面積制限をこえる建物を建築することができる。 1989年の建築基準法の改正で大型の木造建築が建てられるようになった背景もあり,近年では集成材による大木造建築がみられる。

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百科事典マイペディア 「集成材」の意味・わかりやすい解説

集成材【しゅうせいざい】

挽板(ひきいた)積層材とも。改良木材の一種で,多数の挽板または角材を接着材で接着したもの。化粧用集成材(集成した材の表面に美観をもつ薄板をはり付けたもので,建築の内装用),構造用集成材(木材の力学的不均質性を除き,圧力,張力等を強くしたもの。湾曲材,長大材も可能で,構築材,船材,橋梁(きょうりょう)材等に使用),化粧張り構造用集成材(前2者の特徴を合わせたもので木造住宅の柱等に使用)の3種がある。
→関連項目積層材木材工業

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リフォーム用語集 「集成材」の解説

集成材

ひき板や小さい角材を平行にそろえ、長さ、巾、厚さ方向に接着して大きい木材に集成したもの。強度にばらつきがなく、自由な大きさや形をつくれ、割れや狂いが生じにくい。造作用集成材、構造用集成材、大断面構造用集成材などがある。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「集成材」の解説

しゅうせいざい【集成材】

厚さ25~50mmの木材の板を層状に接着してブロック材にしたもの。任意の大きさにすることが可能で、アーチなど湾曲した形状にもできる。節・割れなどがなく、乾燥済みのため狂いも少ない。

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農林水産関係用語集 「集成材」の解説

集成材

板材(ラミナ)を繊維(木目)の方向が平行になるように、長さ、幅、厚さの各方向に接着した製品。柱材等の構造用集成材と階段材、床材等の造作用集成材に大別。

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世界大百科事典(旧版)内の集成材の言及

【改良木材】より

…合板,パーティクルボード,集成材などのように,主原料として木材を使用しているが,これを天然のまま用いるのではなく種々の処理を施して新しく製造した木質系材料の総称。最近では木質材料とも呼ばれる。…

※「集成材」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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