普及版 字通 「隷(漢字)」の読み・字形・画数・意味
隷
常用漢字 16画
(異体字)隸
17画
[字訓] つく・しもべ・したがう
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
祟(すい)+巾(きん)+(ゆう)(手)。隷はその変化した字形。祟の初形は。呪霊をもつ獣の形。隶(たい)の初形は巾を手にもつ形。隷はに巾を加えてその呪霊を移しとる形で、罪・禍を転移する方法である。ゆえに附着の意がある。〔説文〕三下に「附するなり。隶に從ひ、(だい)聲」とするが、声が合わない。罪禍を移されたものを隷といい、神の徒隷とした。〔左伝、成十六年〕「魯の常隷なり」、〔左伝、定四年〕「稷の常隷なり」とはその意である。〔左伝、哀六年〕に、楚に衆赤鳥のような雲があらわれたとき、その禍殃を臣下に移すことを勧められた王が「腹心の疾を除くも、(こ)れを股肱(ここう)に(お)かば、何のかあらん」と断ったところ、まもなくその禍殃も止んだという話がある。
[訓義]
1. つく、身につく、附著する、禍いを転移する。
2. しもべ、下僕、神の徒隷。
3. したがう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕隷 ツク・カナフ・ヨル・ツカフ 〔立〕隷 ヤツコ・マカス・カナフ・ヨル・ヨシ・ツカヒビト・タグヒ・ツリイル・ツク
[語系]
隷・麗liaiは同声。麗にも附着する意がある。離liaiも声義が近く、離の初義は、とりもちをいう。
[熟語]
隷役▶・隷圉▶・隷御▶・隷古▶・隷戸▶・隷字▶・隷事▶・隷従▶・隷書▶・隷臣▶・隷人▶・隷属▶・隷卒▶・隷体▶・隷農▶
[下接語]
家隷・楷隷・圉隷・群隷・奚隷・古隷・罪隷・散隷・私隷・廝隷・豎隷・習隷・女隷・臣隷・秦隷・人隷・芻隷・賤隷・隷・草隷・卒隷・族隷・籀隷・徒隷・奴隷・隷・陪隷・蛮隷・附隷・俘隷・氓隷・萌隷・僕隷・輿隷・流隷
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報