隠蓑（読み）かくれみの

精選版 日本国語大辞典

かくれ‐みの【隠蓑】

〘名〙

① 着ると身を隠すことができるという想像上の蓑。鬼や天狗(てんぐ)の宝物とされることが多い。

※枕（１０Ｃ終）一〇四「隔てたりつる御屏風もおしあけつれば、かいまみの人、かくれみの取られたるここちして」

※俳諧・犬子集（1633）五「雨雲や笠めす月のかくれみの〈良徳〉」

② 転じて、実体を隠すための表向きのもの。

※死霊‐自序（1946‐48）〈埴谷雄高〉「うまく死んだふりをしてみせる隠れ蓑を」

③ ウコギ科の常緑小高木。千葉県南部以西の暖地の陰湿地に生え、庭木ともされる。高さ五～一〇メートル。葉は長い柄を持ち、先のとがった卵形で革質、三本の太い脈が目立つ。若木の葉の多くは三～五に深裂するが、老木では全縁のものが多い。夏、枝先に直径約五ミリメートルの黄緑色の五弁花を半球状に集めてつける。果実は広楕円形で黒熟する。早春、発芽前に幹を傷つけ液汁を取り、黄漆と呼んで漆の代用にする。みつながしわ。みぞぶた。みつで。からみつで。〔日本植物名彙（1884）〕

出典　精選版 日本国語大辞典

動植物名よみかた辞典　普及版

隠蓑 (カクレミノ)

学名：Dendropanax trifida
植物。ウコギ科の常緑小高木・高木,園芸植物,薬用植物

隠蓑 (カクレミノ)

植物。スミレ科の無茎性多年草,園芸植物。エイザンスミレの別称

出典　日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典　普及版」