隠忍(読み)かくれしのぶ

精選版 日本国語大辞典 「隠忍」の意味・読み・例文・類語

かくれ‐しの・ぶ【隠忍】

[1] 〘自バ上二〙 隠れて人目につかないようにする。人に知られないようにする。かくれひそむ。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「物の心も知らぬむすめ一人残りて物おそろしくつつましければ、あるやうにもあらず、かくれ忍てあれば」
[2] 〘自バ五(四)〙 (一)に同じ。
※寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初「我が好なことばかりを隠(カク)れ忍(シノ)んでもしたがるといふは、天とうさまへ対してすまぬことと心附きました故」
[語誌]活用は、本来上二段であったが、平安朝にはいって、四段の「偲(しの)ぶ」との混同が生じ、両者ともに両様の活用のしかたが行なわれるようになり、さらに四段に統一されるに至った。

いん‐にん【隠忍】

〘名〙 苦しみを外部にあらわさないで、耐え忍ぶこと。おんにん。
※類従本撰集抄(1250頃)八「若き殿上人中納言を打見て、皆隠忍給へりければ、中納言打泪ぐみて」 〔史記‐伍子胥伝賛〕

かくろえ‐しの・ぶ かくろへ‥【隠忍】

〘自バ上二〙 隠れて人目につかないようにする。
源氏(1001‐14頃)松風「御ともの人々もあながちにかくろへしのぶれば」

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デジタル大辞泉 「隠忍」の意味・読み・例文・類語

いん‐にん【隠忍】

[名](スル)苦しみを心中に隠して堪え忍ぶこと。「隠忍しがたい処遇
[類語]耐える耐え忍ぶ忍ぶこらえる辛抱我慢忍耐忍従頑張る歯を食いしばる涙を呑む抑える

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「隠忍」の読み・字形・画数・意味

【隠忍】いんにん

しのぶ。〔後漢書、孔融伝〕重りと雖も、必ず宜しく隱すべし。賈誼謂(いはゆる)鼠を(う)つにを忌むとは、蓋(けだ)し此れを謂ふなり。

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