隠れ念仏(読み)カクレネンブツ

デジタル大辞泉 「隠れ念仏」の意味・読み・例文・類語

かくれ‐ねんぶつ【隠れ念仏】

禁令に反して秘かに浄土真宗一向宗)の信仰を守った信者。また、その集団薩摩藩では慶長2年(1597)から明治9年(1876)まで続き、信者は厳しく弾圧されたという。禁教理由として、一向一揆にみられる信者の結束の強さ、身分制度を否定する教義などが考えられている。隠れ門徒

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百科事典マイペディア 「隠れ念仏」の意味・わかりやすい解説

隠れ念仏【かくれねんぶつ】

江戸時代島津藩領内でみられた信仰。同藩では一向宗(浄土真宗)を禁じ,宗門改によってキリシタンとともに厳しく取り締まったが,その目をのがれて,表面他宗の信者となり,ひそかに一向宗を信ずる人々が明治期まで存在した。これを隠れ念仏という。隠し念仏とは別。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「隠れ念仏」の解説

隠れ念仏
かくれねんぶつ

広義には江戸時代に幕府宗門によって禁止された秘事法門(ひじぼうもん)・隠し念仏などを含むが,とくに鹿児島藩では藩命に背きひそかに行われた浄土真宗の信仰をさす。同藩では1597年(慶長2)以降,一向宗(真宗)が禁止され門徒は徹底的に弾圧されたが,番役毛坊主(けぼうず)を指導者として,お座仏とよばれる本尊を中心に講間(こま)・お座という組織を作ってひそかに伝道と信仰を続けた。明治期の解禁後もカヤカベ教として存続。

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