隈府町(読み)わいふまち

日本歴史地名大系 「隈府町」の解説

隈府町
わいふまち

[現在地名]菊池市隈府

正観寺しようかんじ村の西にあり、北は高野瀬たかのせ村、南は北宮きたみや村、西は立石たていし村に接する。当町を挟むように北方迫間はざま川、南方を菊池川が西流している。中世菊池氏の本拠地となり、当地方の政治・経済・文化の中心地であった。熊本高札辻まで約六里。南北朝―戦国期の史料には「隈部」「熊部」などとみえ、「くまべ」とよばれていた。

正平四年(一三四九)一〇月頃と推定される恵良惟澄申状追書写(阿蘇家文書)に「隈部城」とみえ、菊池武光は北朝方から同城を奪回した。隈部(隈府)城の城下町として発展し、守護菊池氏在住の地のため隈部は隈府くまふともよばれ始めたという。文明一三年(一四八一)菊池重朝の館や家臣の館で一日一万句の連歌の会が催された。そのときの連歌発句は城親賢が弘治二年(一五五六)に書写した「文明十三年八月日於隈府一日興行万句連歌発句」によって知られ、重朝はこのときの発句「月や志る十代の松の千々の秋」にちなみ「月松の君」ともいわれたという。天文一六年(一五四七)筑後鷹尾たかお(現福岡県山門郡大和町)城主田尻親種は豊後を訪れる途中、なか(現山鹿市)を経て、一〇月二七日に隈府城城主赤星重隆の世話で当地に一泊し、もてなしを受けている(田尻親種参府日記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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