陽高漢墓(読み)ようこうかんぼ(英語表記)Yáng gāo hàn mǔ

改訂新版 世界大百科事典 「陽高漢墓」の意味・わかりやすい解説

陽高漢墓 (ようこうかんぼ)
Yáng gāo hàn mǔ

中国,山西省陽高県城南東約40kmの古城堡にある漢代の古墓群。総数約90基。1942年,大同石仏保存協賛会によって調査された3基は,高さ3~5.5m,直径19~36mの墳丘もち,元来は方墳であったと思われる。各墓とも夫婦合葬で,一次埋葬後に再掘し,二次埋葬を行い,封土を築きなおす。墓坑は地下深く営まれ,12号墓と17号墓は竪穴木槨墓,15号墓は長い階段状の墓道をもった洞室木槨墓で,ともに角材を使用している。漆塗の木棺内には五銖銭をしき,蒲団に包んだ遺骸を納める。五穀を入れたものもある。棺の周囲には漆器銅器土器からなる多数の副葬品を納めていた。12号墓には〈耿嬰〉銅印があり,最も大きい17号墓には副葬漆器に〈魯相〉の銘があった。年代を明確に示す資料はないが,副葬品からほぼ前漢後期と考えられる。なお,古墳群のある古城堡には漢代遺跡があり,高柳県治址かと推定されている。
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百科事典マイペディア 「陽高漢墓」の意味・わかりやすい解説

陽高漢墓【ようこうかんぼ】

中国,山西省北端の陽高県城南東40kmの古城堡にある漢代の古墳群。総数約90基で,径35m,高さ5〜6mから,径5m,高さ2〜3mまで大小さまざまの墳丘をもち,もとは方墳であったと考えられる。1942年以降数基の木槨(もっかく)墓が発掘され,夾紵(きょうちょ)棺,刺繍(ししゅう)を施した絹布,漆器,銅器,前漢鏡などが出土

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