精選版 日本国語大辞典 「陸奥紙」の意味・読み・例文・類語
みちのくに‐がみ【陸奥紙】
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平安時代に陸奥(むつ)国で産出された、コウゾ(楮)を主原料とする上質の和紙。「みちのくにがみ」ともいう。衣(ころも)川流域の平泉文化圏で漉(す)き始められたとの説もあり、その紙質が都の紙屋紙(かんやがみ)に匹敵するほど良質なため、平安京の貴族の間でもてはやされて、やがて紙屋院を衰退に導く結果ともなった。王朝文学にしばしばその賛美のことばとともに用いぶりが表れており、厚くてふくよかな、しかも白くて清らかなその麗しい紙は、懐紙として詩歌を書いたりするのに愛用されたことがわかる。はるかな奥羽地方をしのんでか、唐様(からよう)に檀紙とよんだり、あるいは真弓紙(まゆみのかみ)といったりしたようである。
[町田誠之]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…平安時代には手紙はもとより,漢詩や和歌などを記す懐紙などにも用いられた高級な紙であった。男子は檀紙と記していたが,《源氏物語》などの女流文学にみられるように,女子は陸奥紙(みちのくがみ)とよんでいた。このため檀紙の産地を陸奥とみなす説がゆきわたっているが,一説には,これは修辞学的な表現にすぎず,実際は広く各地から産出したものという。…
※「陸奥紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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