陶石(読み)とうせき

精選版 日本国語大辞典 「陶石」の意味・読み・例文・類語

とう‐せき タウ‥【陶石】

米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「『カオリン』、『ヘルトスバート』等の陶石を処々に産し」

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デジタル大辞泉 「陶石」の意味・読み・例文・類語

とう‐せき〔タウ‐〕【陶石】

陶磁器原料となる岩石石英絹雲母きぬうんもからなり、少量のカオリンなどが加わるものもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陶石」の意味・わかりやすい解説

陶石
とうせき

陶磁器原料として利用される鉱物集合の一般的名称。鉱物学的には、石英と白雲母(うんも)の細粒集合からなり、黄鉄鉱カオリナイトハロイサイト(カオリンの一種)などを含むことがある。日本では、新第三紀中新世以後の浅所での熱水変質作用産物として、多くは酸性火山岩火砕岩砂岩泥岩などからつくられたもので、陶磁器原料、耐火材などとして採掘されている。長崎県五島(ごとう)列島、熊本県天草(あまくさ)地方などをはじめ西日本に大規模な鉱床が多い。

加藤 昭]

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改訂新版 世界大百科事典 「陶石」の意味・わかりやすい解説

陶石 (とうせき)
porcelain stone
pottery stone

単一で陶磁器の原料となる白色軟質の岩石。微粒の石英,絹雲母(セリサイト)およびカオリナイトを主成分とする。粘土鉱物としては絹雲母を多く含有するが,カオリン質陶石ではカオリナイトを多く含有する。これらはまたパイロフィライト長石なども少量含有することがある。また長石質陶石もあり,微粒の石英,カリ長石,曹長石に少量の粘土の混在する場合もある。多くは流紋岩,石英安山岩など酸性火山岩の熱水変質作用によって生成したものである。原石のみを砕いて水簸(すいひ)精製を行って高温焼成用の陶磁器原料とするが,色調に悪影響を与える鉄鉱物の混在が問題となる。また和洋食器,タイル,碍子などにも利用する。日本では佐賀県の伊万里焼(有田焼)の原料である有田泉山陶石,天草地方天草陶石,九谷焼の原料となる石川県能美郡,能美市の陶石などが著名である。また中国の江西省景徳鎮で製造される白色の景徳鎮磁器の原料となる精製品の白木土(ペイトンツ)の原石もその一つである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陶石」の意味・わかりやすい解説

陶石
とうせき
pottery stone

陶磁器の原料になる岩石の総称。一般に石英 (70%) と絹雲母 (30%) から成る。日本では福島,石川,岐阜,兵庫,佐賀,熊本などの各県から産出する。

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世界大百科事典(旧版)内の陶石の言及

【陶磁器】より

…【前田 正明】
【製法と素材】
 陶磁器は原料,成形法,焼成法(温度),焼き上がったものの硬度,透水性,うわぐすり(釉)の有無,用途などが異なることで多くの種類に分類される(表1)。
[原料]
 原料としてはケイ石,粘土,絹雲母,長石,陶石などがある。これらの原料の役割を大別して,(1)骨格成分,(2)成形成分,(3)焼結成分とする。…

※「陶石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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