陶枕(読み)とうちん

精選版 日本国語大辞典 「陶枕」の意味・読み・例文・類語

とう‐ちん タウ‥【陶枕】

〘名〙 陶磁製の枕。中国から伝わり、中空一つ小石が入れてあってからからと音がする。血圧を下げるともいわれ、夏に用いる。《季・夏》

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デジタル大辞泉 「陶枕」の意味・読み・例文・類語

とう‐ちん〔タウ‐〕【陶枕】

陶磁器製の枕。中国から渡来。夏に使われる。 夏》

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改訂新版 世界大百科事典 「陶枕」の意味・わかりやすい解説

陶枕 (とうちん)

陶製の枕。長さ20~30cmの長方形を呈し,頂部は方形,如意形などになっている。中国では唐代からあり,唐三彩,黒釉,長沙窯などで作られている。宋代の磁州窯系の枕が最も多く,〈邯鄲夢の枕〉で名高い。白釉刻花,白釉搔落し,三彩,鉄絵などがあり,〈張家造〉などのスタンプ銘がある。朝鮮では高麗青磁に陶枕がみられる。元・明代にも陶枕はつくられたが,宋代の磁州窯系の陶枕の魅力にはおよばない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陶枕」の意味・わかりやすい解説

陶枕
とうちん

陶磁製の枕(まくら)。磁枕、陶磁枕などともいい、色によって青磁枕、白磁枕などの称もあり、形状・種類ともに甚だ多い。古く中国から渡来したもので、中世説話集十訓抄(じっきんしょう)』(1252成立)にも、右大臣の徳大寺公継(きんつぐ)が獅子(しし)の形をした陶枕を女房のもとへ贈った、との記事がみられ、江戸時代には、その硬く、ひんやりとした感触文人の間で喜ばれ、昼寝などに広く愛用された。

[宇田敏彦]

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