除田(読み)じょでん

精選版 日本国語大辞典 「除田」の意味・読み・例文・類語

じょ‐でん ヂョ‥【除田】

〘名〙 平安時代末期から中世を通じ、荘園国衙領で、年貢公事を免除された田地近世除地にあたる。
※百巻本東大寺文書‐天永二年(1111)九月八日・紀伊国木本荘作田損得注進帳「合七十五町五段二百歩〈略〉除田十六町六段百廿歩」

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デジタル大辞泉 「除田」の意味・読み・例文・類語

じょ‐でん〔ヂヨ‐〕【除田】

荘園制下で、課税対象とならない田地。荒田寺田神田など。⇔定田じょうでん

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「除田」の意味・わかりやすい解説

除田
じょでん

荘園制もと年貢公事賦課の対象となる定田に対し,神田寺田給田,不作,川成など課税免除の田地をいう。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「除田」の解説

除田
じょでん

荘園や国衙(こくが)領内の年貢・公事(くじ)が賦課されない田地で,検注(けんちゅう)で決定された。種目としては,寺社法会祭礼などの用途にあてられる仏神田,諸荘官や荘園運営にかかわる各種職人らの給田とされた人給田(にんきゅうでん),領内の灌漑施設維持にあてられる井料田(いりょうでん),回復のみこみがたちにくい損田・川成(かわなり)などがある。

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普及版 字通 「除田」の読み・字形・画数・意味

【除田】じよでん

治田

字通「除」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の除田の言及

【川成】より

…洪水などのため,流失,崩失したり,土石にうずもれて耕作不能となった田畑。中世では除田(じよでん)として年貢,公事が免除された。川成となった場合,多くはまもなく堰溝(えんこう)を新・改掘し,また川石や埋土を除いて開発が図られた。…

【検注帳】より

…この文書は検注帳作成の過程で作られた例が少なくなく,これも領主のもとに届けられた。内容は検注帳と基本的には変わらないが,まず最初に惣田数と年間可収租税の総額を明らかにし,その次に右から〈除田〉として控除される各種の田地を列記する。すなわちその第1は〈荒田(こうでん)〉である。…

【荘園】より

… 平安末期から鎌倉前期の荘園公領制の確立過程で,荘園支配者にも交替はあったが,そのつど行われた検注により,個々の荘園の体制も確立していった。西国の場合,荘園の田地は田代・年荒・常荒等の荒田(こうでん)と,見作田(げんさくでん)に区分され,見作田から損田・川成(かわなり)・不作が差し引かれた上で,除田(じよでん)と定田(じようでん)に分けられる。年貢・公事の免除された除田は,荘内の神田寺田,地頭・預所・下司・公文・田所・惣追捕使等の荘官,鍛冶・番匠等の職人の給免田(人給)からなり,定田(公田ともいわれる)はその主要部分が,しばしば均等な面積をもつ百姓名(平民名,土名)に結(ゆ)われ,おもだった平民百姓たちがそれを請け負って年貢・公事負担の責任を負った。…

※「除田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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