除地(読み)のぞきち

精選版 日本国語大辞典 「除地」の意味・読み・例文・類語

のぞき‐ち【除地】

〘名〙
年貢を免除された土地。じょち。
※俳諧・其袋(1690)冬「鎗鞱(しなひ)其道みがく秋の月〈立吟〉 年貢はからぬ己が除(ノゾキ)地〈嵐雪〉」
② 職を解かれた人、年老いて現役をひいた人などをいう。
※雑俳・川柳評万句合‐天明六(1786)九「のぞき地になってもつくる古るめかけ」

よけ‐ち【除地】

〘名〙
江戸時代検地帳などの記載から除かれた土地。
歌舞伎・上総綿小紋単地(1865)序幕「『けふは大方話しのあった、田地検地を打つとのこと』『一尺でも除地(ヨケチ)があるとやかましく言って、運上を取りあげるといふ事ぢゃ』」
② 江戸時代、領主証文または由緒により、年貢・諸役を課されない土地。無年貢地。のぞきち。〔地方凡例録(1794)〕

じょ‐ち ヂョ‥【除地】

〘名〙
① 江戸時代、朱印地(しゅいんち)黒印地(こくいんち)などで、何らかの理由により幕府諸藩から免租を認定された土地。社寺境内などがこれにあたる。朱印地に次いで重要な地であり、墓所、死馬捨場などの見捨地とは異なる。のぞきち。よけち。〔地方凡例録(1794)〕
② 取り上げた土地。没収した土地。

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デジタル大辞泉 「除地」の意味・読み・例文・類語

じょ‐ち〔ヂヨ‐〕【除地】

江戸時代、領主により年貢免除の特権を与えられた土地。よけち。

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普及版 字通 「除地」の読み・字形・画数・意味

【除地】じよ(ぢよ)ち

地を清める。〔唐書、礼楽志六〕仲、武を外にず。~兵部詔を受け、に將帥に命じ、軍士を(えら)び、地を除して場と爲さしむ。

字通「除」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「除地」の意味・わかりやすい解説

除地 (じょち)

〈よけち〉とも読む。江戸時代,朱印地や拝領地などとならんで幕府・藩などの領主から租税を免除された土地。検地の際特別の由緒によって縄除となり,したがって村高から除外され,年貢諸役を免除された。ただし高を記入される場合もあり,その場合の除地は除地高として検地帳に記載された。除地は寺社の境内や特別の由緒ある者の所持地などに特典として認められた。除地は町方にもあり,たとえば尾張藩では,御用達商人の家格中第2位たる除衆は居宅地の諸役を免ぜられていた。
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百科事典マイペディア 「除地」の意味・わかりやすい解説

除地【じょち】

江戸時代,幕府・藩などの領主から租税を免除された土地。〈よけち〉とも。一般に寺社の境内地や特別の由緒あるものの所持地などに特典として認められ,検地では縄除けとなり村高から除外されるか,除地高として記された。町方では藩の御用商人に居宅地の諸役を免除された除地衆がいた。

除地【よけち】

除地(じょち)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「除地」の意味・わかりやすい解説

除地
じょち

よけ地ともいう。江戸時代,幕府や藩から年貢を免除された土地で朱印地や見捨地以外のものをいう。寺社の境内や特別な由緒のある土地で,従来は検地を受けなかったが,次第に検地のうえ検地帳に除地として登録されるようになった。起源は,中世寺社境内の免租地を除地といったことにあるらしい。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「除地」の解説

除地
じょち

「よけち」とも。江戸時代,領主から貢租・課役を免除された寺社の境内・田畑・屋敷地。朱印地につぐもので,無年貢証文が発給されているか検地帳外書に除地と記されているもの。高の有無にかかわらない。高がある場合は除地高といい,検地帳に記載したうえで年貢・諸役は高内引(たかうちびき)として免除された。無年貢証文が発給されていない土地を,新規の検地で貢租を免除しようとするときは,除地でなく見捨地とされた。

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世界大百科事典(旧版)内の除地の言及

【除地】より

…検地の際特別の由緒によって縄除となり,したがって村高から除外され,年貢諸役を免除された。ただし高を記入される場合もあり,その場合の除地は除地高として検地帳に記載された。除地は寺社の境内や特別の由緒ある者の所持地などに特典として認められた。…

※「除地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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