限外顕微鏡(読み)げんがいけんびきょう

精選版 日本国語大辞典 「限外顕微鏡」の意味・読み・例文・類語

げんがい‐けんびきょう ゲングヮイケンビキャウ【限外顕微鏡】

〘名〙 暗視野照明による散乱光によって、通常顕微鏡では見ることのできない微粒子存在や運動状態を観察できる顕微鏡。一九〇三年、ドイツのジグモンディーが発明暗視野顕微鏡

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デジタル大辞泉 「限外顕微鏡」の意味・読み・例文・類語

げんがい‐けんびきょう〔ゲングワイケンビキヤウ〕【限外顕微鏡】

普通の顕微鏡では見分けられない微粒子に、特殊な照明装置による光を当て、その散乱光によって存在や運動状態を知る顕微鏡。暗視野顕微鏡。

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化学辞典 第2版 「限外顕微鏡」の解説

限外顕微鏡
ゲンガイケンビキョウ
ultramicroscope

コロイド溶液に強い光を投射し,散乱する光(チンダル散乱光)を顕微鏡で観察するようになっている装置をいう.これはドイツの物理学者R. Zsigmondy(シグモンディ)(1903年)がH. Siedentopfの協力のもとに考案したものである.それまでの透過光線では,均一に見えていたコロイド(疎水性,たとえば金ゾル)の不均一性が明らかにされるとともに,その大きさも推定され,コロイド化学の発展に大きな貢献をした.この功績によってZsigmondyはノーベル化学賞を受賞した(1925年).この方法では粒子が二次的発光源となるので,その大きさが顕微鏡の分散能(光の波長の約1/2)以下であると,その存在は認められるが,形は見られない.また,親水性コロイドのように,分散媒との屈折率の差が小さいときには散乱光が弱くなり,濃度が高すぎると明るくなりすぎて観察が困難となる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「限外顕微鏡」の意味・わかりやすい解説

限外顕微鏡
げんがいけんびきょう
ultramicroscope

暗視野顕微鏡ともいう。対物レンズに直接光が入らないようにした照明装置で試料を照射し,通常の顕微鏡の分解能以下の微粒子をティンダル現象で暗視野中に輝かせて確認する顕微鏡。顕微鏡の分解能は約 0.25μmが限度と考えられるが,0.005μm程度の極微粒子まで確認できる。透過型と反射型があり,スリット型,パラボライド型やカージオイド型の集光系が用いられる。ブラウン運動やコロイドの研究のほか,微小な屈折率変化や,表面の微小な凹凸検出にも用いられている。独立の専用顕微鏡のほか,通常の顕微鏡に付属させる集光系や,集光系つき対物レンズ (反射用) もある。

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百科事典マイペディア 「限外顕微鏡」の意味・わかりやすい解説

限外顕微鏡【げんがいけんびきょう】

暗視野顕微鏡

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栄養・生化学辞典 「限外顕微鏡」の解説

限外顕微鏡

 視野を暗い状態にして検体に強い光を当て,解像力を上げ,見やすい状態にした顕微鏡.

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世界大百科事典(旧版)内の限外顕微鏡の言及

【顕微鏡】より

…観察者の目の疲労が少なく,同時に多人数による観察などが可能という特徴があるが,強光で照明する必要があり試料の損傷が起こりやすく,レーザーを用いた輝度増幅が研究されている。(8)その他 微粒子を含む媒質中に斜めに光を入射し,暗い視野中にティンダル現象によって輝く微粒子を観察する暗視野顕微鏡(限外顕微鏡ともいう),紫外線照射によって物体から発生した蛍光を観察する蛍光顕微鏡などもある。【小倉 磐夫】。…

※「限外顕微鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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