降圧剤(血圧降下剤)(読み)コウアツザイケツアツコウカザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「降圧剤(血圧降下剤)」の解説

降圧剤(血圧降下剤)

降圧剤とは


 「最高血圧が140mmHg以上、かつ、または、最低血圧が90mmHg以上の状態」が高血圧症です。高血圧症が長年にわたると、動脈硬化を進行させて、脳卒中狭心症心筋梗塞しんきんこうそくといった生命にかかわる病気を誘発する危険が高まります。


 血圧を下げて、高血圧症を改善する薬が降圧剤血圧降下剤)で、効果が確実で副作用の少ない降圧剤が次々と開発されています。


 降圧剤にはいろいろな種類があって、通常はいくつかの降圧剤を組み合わせて使います(併用療法)。個々の使用量を少なくして副作用の発現を抑え、いくつかの薬を併用することによって、より効果を高めるためです。


 降圧剤には、血圧を上昇させる余分な水と塩分を尿として排泄はいせつさせる降圧利尿剤、血圧を上げるようにはたらく交感神経を抑える交感神経遮断剤αアルファブロッカー製剤レセルピン製剤βベータブロッカー製剤αβブロッカー製剤など)、中枢神経に作用して血圧を上昇させる物質のはたらきを抑えるメチルドパ製剤クロニジン塩酸塩系製剤血管を拡張させて血圧を下げるヒドララジン塩酸塩系製剤、血圧を上昇させるアンジオテンシンという物質がつくられるのを阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害剤、血圧を上昇させるはたらきのあるカルシウム拮抗きっこうする作用をもつカルシウム拮抗剤などがあります。


 1種類の薬だけを使用するよりも、通常はこのうちのいくつかの薬を併用します。


 ニカルジピン塩酸塩製剤は、脳循環代謝改善剤としても使用されています。また、抗精神病剤〔抗不安剤〕や自律神経調整剤、脂質異常症治療剤〔脂質代謝改善剤〕が、降圧剤と併用されることもあります。


交感神経α遮断剤(αブロッカー製剤)


レセルピン製剤(ラウオルフィア製剤)


高血圧治療βブロッカー製剤


経皮型βブロッカー製剤


交感神経αβブロッカー製剤


メチルドパ水和物製剤


クロニジン塩酸塩系製剤


ヒドララジン塩酸塩系製剤


アンジオテンシン変換酵素阻害剤


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤/利尿剤配合剤


高血圧症治療カルシウム拮抗剤


アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤/カルシウム拮抗剤併用製剤


カルシウム拮抗剤/HMG‐CoA還元酵素阻害剤併用製剤


アリスキレンフマル酸塩製剤


ミネラルコルチコイド受容体阻害剤

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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