降人(読み)ふりびと

精選版 日本国語大辞典 「降人」の意味・読み・例文・類語

ふり‐びと【降人】

〘名〙 天からおりたった人。天から降ったかのように、どこからともなく現われた人。
風姿花伝(1400‐02頃)四「雲客此壺を取る。中にみどり子あり。かたち柔和にして、玉の如し。是ふり人なるが故に、内裏に奏聞す」

こう‐じん カウ‥【降人】

※歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)序幕「降人(カウジン)の法にて斯くの如く、槍にて道を警護なし」

こう‐にん カウ‥【降人】

〘名〙 降参した人。こうじん。
陸奥話記(11C後か)「献首使者、率貞任従者降人也」 〔後漢書‐光武帝紀〕

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デジタル大辞泉 「降人」の意味・読み・例文・類語

こう‐にん〔カウ‐〕【降人】

降参した人。こうじん。
「樋口次郎は―なりしが、しきりに首の供せんと申しければ」〈平家・九〉

こう‐じん〔カウ‐〕【降人】

こうにん(降人)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「降人」の解説

降人
こうにん

降参・降伏した人。「陸奥話記」などにすでにみえるが,具体的な処遇は治承・寿永の内乱期から現れる。鎌倉幕府では,降人の処遇はその場で決定せず,決まるまで関係者に預けたうえで審議の結果を待った。「玉葉」によると,1183年(寿永2)10月宣旨の前に,源頼朝後白河上皇へ提案した条々には,帰参した人を処罰しないとした1条が盛り込まれ,降人への寛大な処遇がうかがえる。降人の所領は,鎌倉時代半分,3分の1など一部を残して没収する慣習成立,南北朝期には「降参半分の法」として立法化された。

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普及版 字通 「降人」の読み・字形・画数・意味

【降人】こうじん

降服者。

字通「降」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の降人の言及

【降参】より

…たんに降とも称し,合戦において勢いが尽きて服従する行為をいう。降参した者すなわち降人は多く捕縛され,顔に紙をかけられる。これは中国の面縛の故事にもとづく作法であるが,降人の恥への配慮を加味したものでもあったという。…

※「降人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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