阿蘇谷(読み)あそだに

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿蘇谷」の意味・わかりやすい解説

阿蘇谷
あそだに

熊本県北東部,阿蘇山カルデラ内で,中央火口丘によって二分された北半部の火口原阿蘇市に属する。南半部は中央火口丘の裾野緩斜面,北半部は平坦な旧湖底平野で,北端に急崖のカルデラ壁がある。黒川が貫流する。三日月形の谷は水田,畑,放牧地として利用。ほぼ中央部を九州横断道路 (国道 57号線) ,JR豊肥本線が通過。一の宮阿蘇神社,手野 (ての) の古墳群と国造神社,坊中西巌殿寺,内牧の阿蘇温泉などの観光地に恵まれる。阿蘇くじゅう国立公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿蘇谷」の意味・わかりやすい解説

阿蘇谷
あそだに

九州の中央に位置する阿蘇カルデラの北の火口原。別名内郷谷(うちごうだに)。南の安山岩類からなる中央火口丘群と、火口原の間は緩傾斜面で連なり、山裾(すそ)には中央火口丘群から供給された土砂により扇状地が発達している。また、北、東、西の安山岩質集塊岩からなる外輪内壁と火口原との間は、垂直に近い急傾斜面で、崖錐(がいすい)の発達がその斜面角度をわずかながら緩やかなものにしている。四周の斜面に源を発する小河川を集めて、阿蘇谷を西に流れる黒川は、河川勾配(こうばい)約400分の1ときわめて低く、著しく蛇行している。したがって、谷底の沖積面には湿田が多く、この解消のため、明治末期から繰り返し耕地整理が行われ、県営大規模圃場(ほじょう)整備事業(1970~1996)によって、その目的は阿蘇谷全域でほぼ達成された。

[山口守人]

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改訂新版 世界大百科事典 「阿蘇谷」の意味・わかりやすい解説

阿蘇谷 (あそだに)

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世界大百科事典(旧版)内の阿蘇谷の言及

【阿蘇山】より

…最終期の噴出物の年代測定結果は約3万~5万年前となっていて,約3万年以前にカルデラが形成されている。カルデラ中央部の凹地は一時期湖であり,その後,中央火口丘群が噴出し,湖水は消失し,北と南にそれぞれ阿蘇谷,南郷(なんごう)谷と称する平地が出現し,現在の姿となった。阿蘇谷にはカルデラ北半部の水を集めて黒川,南郷谷にはカルデラ南半部の水を集めて白川が貫流している。…

【熊本[県]】より

…(2)阿蘇地域 阿蘇山を主体とするほぼ阿蘇郡の範囲。阿蘇谷東部の一の宮町付近は先史時代,古墳時代の遺跡の多いところで,県内最大の長目塚古墳がある。中世,阿蘇氏は阿蘇開拓の祖神健磐竜命をまつる阿蘇神社の神威を利用し肥後国に強い勢力をもっていた。…

※「阿蘇谷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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