阿氐河荘百姓申状

山川 日本史小辞典 改訂新版 「阿氐河荘百姓申状」の解説

阿氐河荘百姓申状
あてがわのしょうひゃくしょうもうしじょう

紀伊国有田川ぞいの山間荘園である阿氐河荘上村の百姓らが,1275年(建治元)10月28日,地頭湯浅氏による苛酷な収奪実情を,荘園領主円満院に訴えた申状。たどたどしい片仮名書きで,13カ条にわたって具体的に地頭の非法を告発した言上状として著名。「ミミヲキリ,ハナヲソキ」と脅迫する地頭方の言葉は,その暴力的な支配のありさまを如実に示している。また荘園領主への公事(くじ)である材木納入が遅延しているのは,地頭方の苛法に原因があると主張し,荘内での生活の保証を要求する百姓らの言い分からは,その抵抗の強靭さがうかがえる。「大日本古文書」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android