阿国歌舞伎(読み)おくにかぶき

精選版 日本国語大辞典 「阿国歌舞伎」の意味・読み・例文・類語

おくに‐かぶき【阿国歌舞伎】

〘名〙 慶長年間、出雲大社巫女(みこ)といわれる阿国が、京都ではじめた舞踊劇念仏踊りと、滑稽(こっけい)寸劇をまじえた歌舞伎踊りで、当時の評判を得た。のちの歌舞伎芝居始祖とされる。

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デジタル大辞泉 「阿国歌舞伎」の意味・読み・例文・類語

おくに‐かぶき【×阿国歌舞伎】

慶長年間(1596~1615)に出雲大社巫女みこ出身といわれる阿国が、京都で演じた一種舞踊劇。念仏踊り系統の舞踊と滑稽こっけいな寸劇とからなる。歌舞伎の始めとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿国歌舞伎」の意味・わかりやすい解説

阿国歌舞伎
おくにかぶき

出雲の阿国が創始した芸能。初期歌舞伎全体をさす場合もある。「ややこおどり」などの,女性による風流系の小歌踊を演じて諸国を回っていた阿国が,慶長8 (1603) 年京都北野天満宮境内で,当時流行していたかぶき者 (他と異なる服装や行動をする若者) の茶屋通いの風俗を取り入れた「かぶき踊」を演じて人気を博した。念仏踊や,名古屋山三 (→名古屋山三郎 ) を舞台に登場させるなど新奇な工夫を凝らしている。三味線はまだなく,猿若という道化役者が加わっていた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「阿国歌舞伎」の解説

阿国歌舞伎
おくにかぶき

狭義には京でかぶき踊を始めた出雲のお国による歌舞伎をさし,広義には女歌舞伎を含めた総称。お国一座がかぶき踊を創始したのは1603年(慶長8)とされる。男装したお国が,男優の女装した茶屋のかかと戯れ,道化役の猿若がこれにからむ様を舞踊劇に仕立てたもので,先端の風俗を一種倒錯した方法でみせるところに「かぶき(傾き)」という名称の所以がある。お国の時代にはまだ三味線は使用されず,演目の構成,伴奏楽器や舞台は能の踏襲であり,京都の北野神社や五条橋詰に竹矢来(たけやらい)で囲いを設けて興行したという。

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旺文社日本史事典 三訂版 「阿国歌舞伎」の解説

阿国歌舞伎
おくにかぶき

1603年出雲阿国によって始められた歌舞伎踊り
それ以前の女猿楽や念仏踊を総合したもので,女性が男装し劇的な筋をもって踊った。その異様な風体や享楽的劇風は民衆中心に人気を博し,これにならって傾城 (けいせい) 屋が遊女に踊らせたので,各地に流行した。絵巻風の『歌舞伎草紙』も出版され,女歌舞伎の盛行をみた。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「阿国歌舞伎」の解説

阿国歌舞伎
〔長唄〕
おくにかぶき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
中内蝶二
演者
杵屋六四郎(3代)
初演
大正9.5(東京)

阿国歌舞伎
(別題)
おくにかぶき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
御国歌舞伎
初演
享保12.7(江戸・森田座)

阿国歌舞伎
おくにかぶき

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
真山青果
初演
昭和8.3(東京・東京劇場)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿国歌舞伎」の意味・わかりやすい解説

阿国歌舞伎
おくにかぶき

出雲の阿国

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