防潮堤
ぼうちょうてい
coastal levee
ゼロメートル地帯など内陸部の地盤高の低い地帯に対して、海水の浸入や氾濫(はんらん)を防ぐための堤防をさす場合と、内陸地盤高によらず、高潮、高波、津波などの非常時に際し、海水の浸入や海岸欠壊を防止するための堤防をさす場合とがある。しかし、現今では両者を含めて、非常の際に対処できるように、コンクリートもしくは土堰堤(えんてい)をコンクリートやアスファルトで完全に被覆した堤防をいう。防潮堤の形状は敷地取得面積の大小により、直立型か、前面勾配(こうばい)が1対1~2程度の傾斜堤となる場合とがあるが、前面堤脚部を強固にする必要がある。
[堀口孝男]
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防潮堤
ぼうちょうてい
tidal establishment
高潮による災害を防ぐ目的で造られた堤防。防潮堤の高さは,過去の最高潮位に波高を加え,さらに若干の余裕をみて決める。日本では大阪港や尼崎港の防潮堤が著名。東京都江東区の0メートル地帯,潮差の大きい有明海の干拓地などにも防潮堤が設けられている。
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ぼうちょう‐てい バウテウ‥【防潮堤】
※昼と夜の巡礼(1965)〈
黒岩重吾〉女の行動「島はその通路を防潮堤に添って東の方へ行った」
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デジタル大辞泉
「防潮堤」の意味・読み・例文・類語
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ぼうちょうてい【防潮堤 sea wall】
海岸保全施設の一種で,高潮や津波などによって海水が陸上に浸入するのを防止するために,陸岸に築造される海岸構造物。防潮堤の構造は,通常は堤防方式であり,その天端(てんば)の高さは波が越えないことを原則として決められるが,悪条件が重なって,越波あるいは越流が生じた場合でも堤体が破壊されないように,通常堤体前面の法面(のりめん),天端および裏の法面をコンクリートなどで被覆する。表の法面のこう配は急なものから緩やかなものまであるが,波の打上高さを減少させるため,頂部に波返し工を備えているものが多い。
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世界大百科事典内の防潮堤の言及
【海岸保全】より
…これらの構造物を大別すれば,(1)海岸堤防および海岸護岸,(2)突堤および導流堤,(3)離岸堤になる。海岸堤防と海岸護岸は陸岸を防御するために,海岸線に並行して作られる構造物で,高潮対策のために用いられる場合には防潮堤と呼ばれることがある。導流堤および突堤はいずれも海岸から沖に向かって突出して築造された構造物である。…
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