間遠(読み)まどおい

精選版 日本国語大辞典 「間遠」の意味・読み・例文・類語

ま‐どお・い ‥どほい【間遠】

〘形口〙 まどほ・し 〘形ク〙 (古くは「まとおい」)
距離時間が遠くへだたっている。
万葉(8C後)一四・三五二二「昨夜こそは児ろとさ寝しか雲の上ゆ鳴き行く鶴の麻登保久(マトホク)思ほゆ」
② 織り目や編み目があらい。
③ 直接的でない。まわりくどい。まだるい。
歌舞伎幼稚子敵討(1753)口明「身共はさふいふま遠い詮議より」

ま‐どお ‥どほ【間遠】

〘形動〙 (「まとお」とも)
① 間が遠いさま。時間や空間のへだたっているさま。また、人の間柄などが疎いさま。
曾丹集(11C初か)「鵲(かささぎ)のちがふる橋のまどをにてへだつるなかに霜やふるらん」
② 織り目や編み目のあらいさま。
※万葉(8C後)三・四一三「須磨海人塩焼衣の藤衣間遠(まとほ)にしあればいまだ着なれず」

ま‐どおく ‥どほく【間遠】

〘名〙 (形容詞「まどおい」の連用形から) 遠くへだたったところ。
※万葉(8C後)一四・三四四一「麻等保久(マトホク)雲居に見ゆる妹が家にいつか到らむ歩め吾が駒」

あい‐どお あひどほ【間遠】

〘名〙 (形動) 期間や距離がへだたっていること。また、そのさま。
太平記(14C後)三二「将軍の陣あらけ靡(なび)いて後の御方あひ遠に成りければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「間遠」の意味・読み・例文・類語

ま‐どお〔‐どほ〕【間遠】

[形動][文][ナリ]
間隔が、時間的または空間的に離れているさま。「いつしか行き来間遠になった」
「―に立っている七、八軒の家の前を」〈露伴・観画談〉
織り目や編み目、結び目が粗いさま。
「須磨のあまの塩焼衣をさを荒み―にあれや君が来まさぬ」〈古今・恋五〉
[類語]遠い遠め程遠い遠く遥か遥けしはるばる遠方遠隔遠路迂遠うえん悠遠遼遠長途遠距離僻遠へきえん万里以遠

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