間接リウマチ

内科学 第10版 「間接リウマチ」の解説

間接リウマチ(膠原病および類縁疾患)

(5)関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)
 関節リウマチRA)の消化管病変は,非ステロイド系抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)などの治療薬によるもの,続発性アミロイドーシスによるもの,そして関節外症状としての血管炎によるものの3つに大別される.
a. NSAIDs起因性消化管病変
 上部消化管に発症することが多く,NSAIDs使用リウマチ患者の15.5%に胃潰瘍,1.9%に十二指腸潰瘍が,また62.3%に何らかの上部消化管病変が存在したとの報告がある.NSAIDs起因性の胃・十二指腸潰瘍は,しばしば無症状で経過し消化管出血や消化管穿孔により発症する.近年はダブルバルーン小腸内視鏡検査やカプセル内視鏡検査の普及に伴いNSAIDs起因性小腸病変が高率に存在することも明らかとなり,消化管出血による貧血や,膜様狭窄によるイレウスなどで発症することがある.
b. 消化管アミロイドーシス
 RAに伴う消化管アミロイドーシスAA(amyloid A)型で,続発性アミロイドーシスの約90%を占めるとされる.生検診断によるRAでの出現頻度は3.5〜10%前後と報告されている.罹病期間が平均10年以上の長期罹病者に多いが,必ずしもRAの疾患活動性とは相関しない.病変は全消化管に生じうるが特に十二指腸や空腸に好発し,下痢腹痛,悪心・嘔吐,食欲低下などの症状で発症することが多い.
c. 血管炎による消化管病変
 血管炎の合併は約1%といわれており,その中の約10%は消化管に発症するとされる.病変は全消化管に発症しうるが好発部位は小腸,盲腸,S状結腸で,典型的な病変は単発または多発する類円形潰瘍や虚血性腸炎である.[安藤貴文・後藤秀実]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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