間合(読み)まにあう

精選版 日本国語大辞典 「間合」の意味・読み・例文・類語

ま‐に‐あ・う ‥あふ【間合】

〘自ワ五(ハ四)〙
① 役に立つ。急場の役に立つ。
※虎寛本狂言・真奪(室町末‐近世初)「ハテ、今から縄をなふて間に合ふ物か」
② 足りる。十分である。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「大体(たいてい)はちゃやつじで間に合ふのさ」
時間に遅れずにすむ。時間までに着く。
※幼学読本(1887)〈西邨貞〉七「彼の人は最早間に合はざる可し。あれ、汽車は出掛けたり」
[補注]「…で間に合う」「…に間に合う」などの用法によって完全に一語化したと考えられるが、現在でも「急場の間に合う」のように「間」に連体修飾語が付く場合は、連語の意識で使われる。

ま‐に‐あい ‥あひ【間合】

〘名〙
① 代わりのものを使って当座の役に立てること。急場の用にあてること。一時しのぎ。また、そのもの。まにあわせ。
※洒落本・寸南破良意(1775)跋「一時勝負の息貫間(マ)にあいもおかしきもの歟」
② 出まかせのごまかし。その場のがれのでたらめ。
※歌舞伎・今源氏六十帖(1695)一「『八百屋作兵衛から参りました』ト様々に間に合を云ひ」
上杉家文書‐永祿一二年(1569)四月二六日・小島職鎮書状「まにあひ百枚令進献候」

ま‐に‐あわ・せる ‥あはせる【間合】

〘連語〙 まにあは・す 〘連語〙
一定時期までに物事をする。一定の時日に間に合うように事を運ぶ。遅れさせないようにする。
俳諧・炭俵(1694)上「名月のまに合せ度芋畑〈芭蕉〉 すたすたいふて荷ふ落鮎〈孤屋〉」
② 代わりのものを使って、その場の役に立てる。一時しのぎをする。
浮世草子西鶴織留(1694)三「近所祝言ぶるまひの間(マ)にあはすれば済事なり」
[補注]「間」が連体修飾語をとらず、「…で間に合わせる」「…に間に合わせる」などの形をとる場合は、一語の動詞のようになる。

ま‐あい ‥あひ【間合】

〘名〙
① 時間の程よい間隔。適当な時機。ころあい。ひま。
※史記抄(1477)一一「あれともよく人の機嫌まあいを見てはたらくぞ」
② 舞踊・音曲などで、調子の変化する間のわずかの時間。
※評判記・野良立役舞台大鏡(1687)坂田藤十郎「間(マ)合上手なれはおのづから狂言がいきて」
③ 隔たり。距離。多く、剣道などでいう。
※剣法略記(1839)三「離れたると合ひたると、合うて離るるきわと、進退の間合と」

ま‐に‐あわ・す ‥あはす【間合】

[1] 〘連語〙 ⇒まにあわせる(間合)
[2] 〘他サ五(四)〙
① 一定の時期までに物事をする。一定の時日に間に合うように事を運ぶ。
※湯葉(1960)〈芝木好子〉「仕込みに間にあわすためにふだんせっせと結んだ」
② 代わりのものを使って、その場の役に立てる。一時しのぎをする。
※浮世草子・好色破邪顕正(1687)上「嘘としりながらも、間に合してとりはやす侫人をば、透者(すいじゃ)上手者とほめそやしぬるより」

ま‐に‐あわせ ‥あはせ【間合】

〘名〙 代わりのものを使って当座の役に立てること。急場の用にあてること。一時しのぎをすること。また、そのもの。まにあい。
※俳諧・新続犬筑波集(1660)一四「更衣述懐 たれにさてかりてかけふのまにあはせ〈空存法師〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「間合」の意味・読み・例文・類語

ま‐あい〔‐あひ〕【間合(い)】

隔たり。「間合いを詰める」
適当な時機。ころあい。「間合いを見計らう」
舞踊・音楽などで、調子や拍子の変化する間のわずかの時間。
剣道で、向かい合った両者の隔たり。
[類語]距離間隔隔たりインターバル

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android