開高健
かいこうたけし
[生]1930.12.30. 大阪
[没]1989.12.9. 東京
小説家。大阪市立大学法学部卒業。『裸の王様』 (1957) で芥川賞を受賞。前作『パニック』 (57) 同様,工業社会における「組織と個人」という現代的なテーマを扱っている。『日本三文オペラ』 (59) では,大阪の旧陸軍工廠跡の浮浪者,貧民群の生態を描いた。その後イスラエルのアイヒマン裁判を傍聴したり,ベトナムの戦場におもむくなど,国際的な幅広い活動で知られる。また小田実らとベ平連 (「ベトナムに平和を! 市民連合」) を起し,精力的に平和運動を進めた。『輝ける闇』 (68) ,『夏の闇』 (71) など,現代史に取材した力作がある。ほかに『ベトナム戦記』 (65) ,『破れた繭』 (86) ,『夜と陽炎 (かげろう) 』 (86) など。 1990年「開高健賞」が創設された。
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開高健 かいこう-たけし
1930-1989 昭和時代後期の小説家。
昭和5年12月30日生まれ。昭和29年寿屋(現サントリー)に入社,広告コピーに才能を発揮。33年「裸の王様」で芥川賞。ベトナム戦争特派員の体験をもとに「輝ける闇(やみ)」「夏の闇」などを発表。ルポルタージュ,エッセイなども精力的に執筆した。牧羊子の夫。平成元年12月9日死去。58歳。大阪出身。大阪市立大卒。作品はほかに「日本三文オペラ」「もっと遠く!」など。
【格言など】成熟するためには遠まわりをしなければならない
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開高健【かいこうたけし】
小説家。大阪生れ。大阪市立大卒。サントリー宣伝部に勤務し,のち広告会社経営,コピーライターとして一時代を画す。1957年《裸の王様》により芥川賞,戦後文学の担い手の一人となった。ベトナム戦争を取材してベ平連の中心となるなど,旺盛な行動力で知られた。主著《パニック》《日本三文オペラ》《ベトナム戦記》《輝ける闇》《夏の闇》,釣の紀行文《オーパ!》,《開高健全作品》全12巻など。
→関連項目小田実|鶴見俊輔|増村保造
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かいこう‐たけし【開高健】
小説家。大阪生まれ。昭和三三年(一九五八)「裸の王様」で芥川賞受賞。旺盛な行動力に支えられた視野の広い文学活動を展開した。著に「日本三文オペラ」「ベトナム戦記」「夏の闇」など。昭和五~平成元年(一九三〇‐八九)
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世界大百科事典内の開高健の言及
【戦後文学】より
…彼らは三島由紀夫と同世代だが,この世代のうちで非政治的な立場で日常性の危機を文学化したのが〈第三の新人〉と呼ばれる安岡章太郎,吉行淳之介,小島信夫らであった。だが50年代の後半には,さらにその下の世代から大江健三郎,石原慎太郎,開高健,および評論家として江藤淳が登場した。 1960年代以降には経済成長による文学読者の増大とともに,旧来の〈純文学〉がそのままでは時代への適応力を欠くにいたり,平野謙の発言をめぐって〈純文学論争〉がおこなわれ,他方,マスコミの影響のもとに文学の拡散現象も指摘された。…
※「開高健」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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