門籍(読み)モンゼキ

デジタル大辞泉 「門籍」の意味・読み・例文・類語

もん‐ぜき【門籍】

内裏の諸門の通行を許可されている官人の名を書きしるした名簿

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精選版 日本国語大辞典 「門籍」の意味・読み・例文・類語

もん‐ぜき【門籍】

〘名〙 内裏の宮門および閤門(こうもん)に置かれた、その門を通用門とすることをあらかじめ届け出た官人の官位姓名を記した名簿。官人は原則としてその名簿のある門からだけ出入することができた。
※律(718)逸文衛禁「諸応宮殿、未門籍而入」

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改訂新版 世界大百科事典 「門籍」の意味・わかりやすい解説

門籍 (もんじゃく)

古代律令制で,宮城諸門の出入りを許された者の名簿。養老宮衛令によると,宮門(中門),閤門(内門)を出入りする官人は,所属の官司から中務省に申請して承認を受け,中務省はその名簿を衛府に送る。官人は一定の門からのみ出入りし,その門には官人の官位姓名を記した門籍があって,宮門では衛門府,閤門では兵衛府がそれを点検する。門籍は毎月1日と16日とに更新され,犯罪等により入内を禁じられた場合,一時的に門籍を封じることもあった。門籍に記載されていない者で臨時に出入りが必要な場合には,中務省がその名を衛府に連絡して出入りせしめた。一方物資の出入りも,その品目,数量等を記載した門牓もんぼう)によって点検され,武器の出入りは10件以上の場合門牓を必要とし,また宮内からの物資の搬出は,門牓なしには認められなかった。門籍の制は9世紀には乱れ,門籍を提出せずに出入りする者があり,852年(仁寿2),882年(元慶6)等に禁令が出されている。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「門籍」の解説

門籍
もんじゃく

宮城諸門の出入りを許可された官人の名簿。養老令制では宮門(きゅうもん)の門籍を衛門府(えもんふ)が,閤門(こうもん)の門籍を左右兵衛府(ひょうえふ)が管理した。各官司で出入りを許可する官人の官位姓名を記して中務(なかつかさ)省に送り,それが各門の守衛担当の衛府に送られて各官人の出入りに便利な門の門籍に登録される。毎月1日と16日に更新された。近年平城京跡や藤原京跡から関連する木簡が出土したが,門籍の形状は不明。

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普及版 字通 「門籍」の読み・字形・画数・意味

【門籍】もんせき

門の出入証。

字通「門」の項目を見る

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