日本大百科全書(ニッポニカ) 「長門(戦艦)」の意味・わかりやすい解説
長門(戦艦)
ながと
かつて日本海軍が保有した戦艦。第一次世界大戦の戦訓を取り入れ世界初の40センチ砲を採用、1920年(大正9)11月竣工(しゅんこう)した。基準排水量3万2720トンで26.5ノットの高速を誇り、姉妹艦陸奥(むつ)とともに連合艦隊のシンボルとされ、長く旗艦をつとめた。この長門型八隻と巡洋戦艦八隻の八八艦隊を主力として対米洋上決戦に勝利を収めるとするのが日本海軍の基本戦略であった。軍縮条約失効後、大改造を行って排水量を6410トン増加させ、航続力と水中防御力を強化したが、大艦巨砲の威力を発揮する機会には恵まれなかった。陸奥は瀬戸内海の泊地で火薬庫の爆発により沈没(1943)。長門は横須賀(よこすか)で損傷のまま終戦を迎えたのち、アメリカ核実験の標的艦として中部太平洋ビキニ環礁に引航され、1946年(昭和21)7月1日と26日の原爆実験で礁湖の底に沈んだ。
[前田哲男]
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