長野[県](読み)ながの

百科事典マイペディア 「長野[県]」の意味・わかりやすい解説

長野[県]【ながの】

本州中央部にある中部地方の県。県庁所在地は長野市。1万3561.56km2。215万2449人(2010)。〔沿革〕 かつての信濃国にあたる。源平内乱期には木曾義仲が台頭,戦国時代には村上氏,武田氏,上杉氏らの角逐があった。江戸時代には11藩が分立。木曾は幕府直轄地であった。1868年伊那県設置,翌年中野県(のち長野県)を分置,1871年伊那・中野両県のほか12県を設置,1876年信濃全域が長野県となる。1998年冬季オリンピック大会の開催地。2005年2月木曾郡山口村が岐阜県中津川市に編入合併した。〔自然〕 内陸県で,日本の屋根と呼ばれる山岳地帯をなす。県の北北西から南南東にかけて糸魚川(いといがわ)‐静岡構造線が走り,この西側に北から飛騨山脈(北アルプス),木曾山脈(中央アルプス),赤石山脈(南アルプス)が帯状に配列する。飛騨・木曾両山脈の間に木曾川の谷(木曾谷),木曾・赤石両山脈の間には,天竜川が南流する伊那盆地(伊那谷)がある。北境に飯縄(いいづな),黒姫,東部に四阿(あずまや),浅間八ヶ岳,蓼科(たてしな)の火山群があり,いずれも広いすそ野をもつ。中部の筑摩山地千曲川流域の長野・上田・佐久盆地と,西の糸魚川・静岡構造線に沿う松本・諏訪盆地を分けている。中央高地型の気候区にあり,降水量は少なく,夏は高温,冬は寒冷乾燥。北部は日本海側気候区の漸移地域で雪が多く,南の伊那盆地は東海型気候に漸移して温和。〔産業〕 産業別人口構成は第1次11.4%,第2次30.8%,第3次57.0%(2005)で,農林業県の傾向が強いが,第2次大戦後は近代工業が発展。耕地はきわめて少ないが,各盆地では米の反収が多い。山腹,扇状地河岸段丘ではクワ畑に代わって第2次大戦後果樹,野菜の栽培が盛んとなり,特にリンゴ,ナシ,ブドウは全国有数の収穫量を上げている。火山麓の高原では高冷地野菜栽培と酪農が発達。特産に松本盆地ワサビ,諏訪・長野・佐久盆地の花卉(かき),長野盆地の巨峰ブドウ,アンズがあるが,ソバの栽培は減少した。林野の3分の1は国有林で,千曲川上流,木曾谷,赤石山脈に多く,特に木曾のヒノキ美林は有名。戦前までは製糸業が発達していたが,戦後は衰退した。1964年松本諏訪地区が新産業都市に指定され,松本盆地,諏訪盆地を中心に光学器械,精密機械,電気機械部品,通信機械などの工業が発展。他に伝統的な諏訪地方のみそ,寒天,飯山のスキー,奈良井の漆器などを特産。製造品出荷額では5兆6833億円(2003)を上げ,中部地方では愛知,静岡に次いで3位である。山岳美を誇る観光県で,中部山岳,上信越高原,南アルプス,妙高戸隠連山の4国立公園,八ヶ岳中信高原,天竜奥三河,妙義荒船佐久高原の3国定公園があり,温泉,スキー場が各地に散在,善光寺,松本城,諏訪大社など社寺,史跡も多い。〔交通〕 1997年に開通した長野新幹線(2015年には北陸新幹線として金沢へ延伸),千曲川流域の各盆地を結ぶしなの鉄道と国道18号線,山梨県から諏訪地方を経て木曾谷に通じる中央本線と中央自動車道,国道20,19号線を幹線とし,東部に飯山線,小海線,上信越自動車道,中部横断自動車道,南部に飯田線,北部に篠ノ井線,大糸線,長野自動車道が通じる。また長野盆地を中心に長野電鉄,上信越自動車道が通じる。松本市南端に松本空港があり,1993年10月ジェット化のための工事が完了し,札幌,福岡などと結ばれる。
→関連項目中部地方長野オリンピック(1998年)

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