長経路症候と髄節性症候

内科学 第10版 「長経路症候と髄節性症候」の解説

長経路症候と髄節性症候(脊髄障害の特徴)

(1)長経路症候と髄節性症候
 運動系と感覚系には,脳脊髄内を上下に走る線維路(長経路)と,核とその髄内根(髄節性構造とよんでおく)が存在する.長経路傷害で現れる症候を長経路症候とよび,髄節性構造の傷害でみられる症候を髄節性症候とよぶ.脳脊髄を三次元座標系においた場合,長経路と髄節性構造はそれぞれXY座標とZ座標を表す.長経路症候は障害の高さによらず一定なので,病変の高さ(Zの値)は髄節性症候に基づいて決める.
 運動系の長経路は錐体路(図15-2-2左)であり,その徴候として痙縮,腱反射亢進,Babinski徴候がみられ,髄節性症候は,脳幹では運動核支配筋の麻痺,四肢では四肢筋の髄節性の麻痺と筋萎縮があげられる.
 感覚系の長経路には深部感覚を伝える後索と表在感覚を伝える脊髄視床路がある.両者は脊髄から橋中部までは離れているが,視床では入り交じってしまう(図15-2-2右).感覚系の髄節性症候は皮膚分節に沿った感覚障害として示される(図15-2-3).[中野今治]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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