長町女腹切(読み)ナガマチオンナノハラキリ

デジタル大辞泉 「長町女腹切」の意味・読み・例文・類語

ながまちおんなのはらきり〔ながまちをんなのはらきり〕【長町女腹切】

浄瑠璃世話物。3巻。近松門左衛門作。正徳2年(1712)大坂竹本座初演。お花半七の心中事件と、大坂長町であった女性の腹切り事件とを合わせて脚色したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「長町女腹切」の意味・読み・例文・類語

ながまちおんなのはらきり ‥をんなのはらきり【長町女腹切】

浄瑠璃。世話物。三巻。近松門左衛門作。正徳二年(一七一二)頃大坂竹本座初演。京堀川の刀屋石見の手代半七は、なじみになった井筒屋の遊女お花の年季が延長されそうになるのを見て、おばから預かっていた大切な刀を安物とすりかえて売って作った二〇両を投げつけて二人で逃げる。おばは腹を切ってその罪を負い、二人を助ける。

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改訂新版 世界大百科事典 「長町女腹切」の意味・わかりやすい解説

長町女腹切 (ながまちおんなのはらきり)

人形浄瑠璃。世話物。3巻。近松門左衛門作。1712年(正徳2)秋大坂竹本座初演。実説は明らかでない。京都に起こったお花・半七の心中事件と大坂の長町にあった女の腹切りという珍しい事件を一つに合わせて構成された作らしい。京堀川刀屋石見店の職人半七は,石懸町井筒屋抱えの女郎お花となじんでいた。お花が半七の叔母と偽って訪ねてきたことで半七は主人の怒りを買ったが,来合わせた真の叔母がその場を納め,夫の依頼の信国の刀のこしらえを頼んで帰った。お花の継父は,井筒屋から二十両の金を受けとってお花の年季を延ばそうとし,納得しないお花を打擲する。叔母の依頼の信国の刀を安物とすりかえて金をつくった半七はお花を救い,叔母に事情をうち明けて死ぬために2人は大坂へ急ぐ。叔母は,亀山藩士であった半七の家に祟る信国の刀の因縁を夫に語り,罪を一身に引き受け切腹して死ぬ。その後に多くの影響作を生んだが,歌舞伎《雙紋刀銘月(ふたつもんかたなのめいげつ)》(1731),人形浄瑠璃《京羽二重娘気質(きようはぶたえむすめかたぎ)》(1764)はその代表である。なお,大正期以後は,原作に近い歌舞伎化も数回行われている。
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