長柄横穴群(読み)ながらよこあなぐん

日本歴史地名大系 「長柄横穴群」の解説

長柄横穴群
ながらよこあなぐん

[現在地名]長柄町徳増・鴇谷ほか

一宮いちのみや川上流域の丘陵斜面、長柄町域に分布する横穴群の総称で、源六谷げんろくやつ鴇谷とうや汲井谷くむいがやつはりやつ力丸りきまるなど合計二五ヵ所以上の横穴群が確認されている。うち長柄町横穴群徳増支群は県指定史跡。昭和五〇年(一九七五)町史編纂事業に関連して町域全体にわたる横穴群の詳細な実態調査が行われ、高壇式の横穴が多いこと、整然とした棺床を備え、家形天井など技巧的に優れた造作が多々みられること、線刻壁画が多くみられる点など、その密集度と構築技術の高さは全国的にみても屈指の内容であることが明らかにされている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「長柄横穴群」の解説

ながらよこあなぐん【長柄横穴群】


千葉県長生郡長柄町徳増にある横穴墓。丘陵の斜面に穴を掘って墓室とした横穴墓が房総地方に登場する時期は、およそ6世紀後半。県内には約4000基がある。長柄横穴群は7世紀半ばから8世紀初頭に造られたものと推定され、25群324基からなる大規模な横穴群で、長柄町南部に分布する。1995年(平成7)に国の史跡に指定された。この地方の横穴は、羨道(せんどう)と玄室の高さが著しく差のある「高壇式(こうだんしき)」と呼ばれる独特のもので、段差は最大のものは2.9mに達するものがあり、日本で最も高さのある横穴墓である。また、7世紀半ばに造られたと推定されている13号横穴墓には線刻画があり、五重塔と思われる構造物、鳥、埴輪(はにわ)を思わせる人物が刻まれている。JR外房線茂原駅から小湊鐡道バス「徳増」下車、徒歩約15分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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