長上郡(読み)ながのかみぐん

日本歴史地名大系 「長上郡」の解説

長上郡
ながのかみぐん

遠江国の南端中央部、天竜川下流域に位置した古代から近世にかけての郡。明治期には「ながかみ」という。

〔古代・中世〕

和銅二年(七〇九)長田ながた郡を二分割して成立(「続日本紀」同年二月二〇日条)。「和名抄」東急本国郡部に「長乃加美」との訓がある。神亀三年(七二六)の山背国愛宕郡出雲郷雲下里計帳(正倉院文書)に、雲下里人蝮王首真土売ら四人について「右四人、遠江国長田上郡」との注記があり、長田上郡とも記された。平城宮跡出土木簡(「平城宮木簡」五―六六九八)に「遠江国長□□□(上郡人カ)」、平城京左京二条大路出土の木簡に「(表)遠江国長上郡煮塩年魚三斗八升 三」「(裏)天平廿年」の表記がある。郡家は浜松市木船きぶね廃寺越前えちぜん遺跡周辺が候補地とされている(静岡県史)。「和名抄」によれば、茅原かはら碧海あおうみ・長田・河辺かわべ蟾沼ひきぬま壱志いちし六郷からなる。式内社は大歳おおとし神社(現浜松市天王町大歳神社または同市神立町蒲神明宮に比定)邑勢神社(現浜松市大島町の同名社に比定)服織はとり神社(現浜松市豊町の同名社に比定)朝日波多加あさひはたか神社(不詳)子倉こくら神社(現浜松市白鳥町子安神社に比定)の五社。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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